そして、オーナーがジェフリー・ローリア氏に変わった2003年には、1997年のファイヤーセールで獲得したデレク・リー一塁手らがチームの中心となり、球団創設11年目にして2度目の世界一に。が、しかし、である。ここからのちに“野球界で史上最も嫌われたオーナー”とも呼ばれるローリア氏が、その片鱗を見せる。

 ワールドチャンピオンとなったオフにリーを放出すると、2005年オフには同じく世界一の原動力となったルイス・カスティーヨ二塁手、マイク・ローウェル三塁手、ホアン・ピエール外野手、ジョシュ・ベケット投手に加え、ポール・ロデューカ捕手、カルロス・デルガド一塁手を、2007年オフにはミゲル・カブレラ三塁手、ドントレル・ウィリス投手と主軸を次々にトレードしたのだ。

 だが、その後にマーリンズは勝てなくなった一方で、チームの総年俸が低い球団に与えらえる分配金の効果もあって球団の収益は上向きに。ローリア氏が「金儲け」のために球団を利用しているという批判も集まるのであった。

 そして、ローリア氏の“嫌われ者”の称号を決定的なものにしたのが2012年に行ったファイヤーセールだ。

 2011年オフ、ローリア氏はこれまでの方針を転換し、ワールドシリーズ制覇を狙うべく積極的にチームに投資。遊撃手のホセ・レイエス、先発左腕のマーク・バーリー、救援右腕のヒース・ベルというメジャー屈指のスター選手たちを長期契約で迎え入れた。

 ファンたちも「これからチームは強くなる」と期待したが、いざ2012年のシーズンが始まり思いのほか勝てないと、主力のハンリー・ラミレス遊撃手、オマー・インファンテ二塁手、アニバル・サンチェス投手を7月のトレード期限前に突然放出。シーズン途中にも関わらず完全に諦めモードとなってしまったのだ。そして、シーズン終了後には6年契約のレイエス、4年契約のバーリー、3年契約のベルとシーズン前に獲得した選手に加えて、エース級のジョシュ・ジョンソンもトレードでチームから出すという、理解しがたい動きに出ている。

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トレード前の選手に語っていた“驚きの発言”