ムゴシャはここまで無得点と結果を残せていないが、飯野は7月16日の鹿島戦から早速スタメンで起用され、8月13日の札幌戦では両チームトップの走行距離12.394キロ&スプリント回数39回を記録。その札幌戦では、マテウス・トゥーレルも持ち前の対人能力を発揮して2対0の完封勝利に貢献している。現時点で勝点24(6勝6分13敗)の16位とまだ降格圏から完全に抜け出せてはいないが、大迫勇也のコンディションも日に日に上昇しており、頼れる武藤嘉紀も戦列に復帰。このまま守備が安定してくれさえすれば、今後は間違いなく“右肩上がり”が期待できる。

 もう1チーム、清水、神戸と同様に今夏の移籍市場で大枚をはたいたのが、G大阪である。スピード自慢の元日本代表FW鈴木武蔵を争奪戦の末に獲得し、アグレッシブさが売りのFW食野亮太郎が3年ぶりに復帰。さらに東京Vからパリ五輪世代の司令塔MF山本理仁、鹿島から右サイドで攻守に強度の高いMFファン・アラーノも獲得した。だが、7月30日の京都戦で食野の復帰後初ゴールでリードを奪いながら終了間際にPK献上でドロー。8月6日の福岡戦が中止となった後、長い準備期間があった同14日の“大一番”清水戦では0対2の完敗を喫した。

 鈴木がコンディション不良、山本理が故障離脱、ファン・アラーノが加入直後ということもあり、新加入選手たちの働きは限定的で、確かに選手層はアップしたが、チーム力アップは実感できていない。その結果、6月29日の広島戦を最後に6試合勝利なし(2分4敗)で、現時点で勝点22(5勝7分12敗)の17位。新たに計4クラブで監督を務めた経験豊富な松田浩氏をコーチとして招聘するなど、フロントはあの手この手でチームを変えようとしているが結果が付いてこず。そんな中で、15日には片野坂知宏監督が解任されることが濃厚と報じられ、後任にはコーチとして就任した松田氏が務めると見られている。クラブ史上2度目のJ2降格の危機が、間違いなく近づいていると言えるだろう。

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その他の降格圏のクラブの補強は?