今夏に清水に加入した乾貴士
今夏に清水に加入した乾貴士

 全34節で行われる2022年のJ1リーグ戦は、8月13、14日に第25節を実施。新型コロナウイルスや台風による延期分を除いて残り9試合と、いよいよ“カウントダウン”に入った。その中で例年以上に熾烈な争いとなっているのが「J1残留争い」であり、現時点で11位の札幌から最下位の磐田までの8チームが勝点差6の中にひしめき合っている。だが、今夏の移籍市場で積極補強を敢行した下位チームが多く、大きく生まれ変わったチームが多い。

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 今夏の補強効果を最も感じさせているのが、清水だ。ゼ・リカルド監督新体制の初戦(6月18日・福岡戦)から7月末までは2勝2分3敗だったが、その間に元エースのFW北川航也、右サイドで“電光石火”のドリブルを見せるブラジル人MFヤゴ・ピカチュウ、そして元日本代表MF乾貴士という実力者たちを獲得。彼らが揃ってデビューした7月31日の鳥栖戦では2点ビハインドから3対3の同点に追い付くと、続く8月7日のFC東京戦、同14日のG大阪戦で、ともに2対0と快勝した。

 チームとして粘り強く戦う中で、特に“時間”を作れる乾の存在が大きく、彼らが自ら突破するだけでなく、巧みなボールキープとポジショニングで攻撃にリズムを生み出し、右サイドを駆け上がるピカチュウや最前線で強さと巧さを見せるエースFWチアゴ・サンタナとの連携も上々。ゼ・リカルド監督の下で選手間の共通理解も進み、勝点27(6勝9分10敗)で最下位から一気に12位まで順位アップ。元々、選手の面子は揃っていた中でチーム全体に自信と余裕が生まれており、このまま残留争いから一足先に抜け出しそうだ。

 今夏“も”補強した神戸は、ようやく本物の上昇気流を掴めるか。主力に怪我人が相次いだ中で下位低迷が続いているが、新たに韓国Kリーグで今季17試合14得点を挙げて得点ランクトップを走っていたFWムゴシャ、快足自慢の右サイドの仕事人・飯野七聖、さらにブラジル人センターバックのマテウス・トゥーレル、元日本代表で昨年から韓国でプレーしていた小林祐希を獲得した。

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清水、神戸の他に積極的に動いたのは…