いらなくなった家具をどうするか……(gettyimages)
いらなくなった家具をどうするか……(gettyimages)

 引っ越しの時などに処分に困るのが家具などの大きな不用品。ネットで調べると買い取りや回収をうたう業者がたくさん出てくるが、回収にかかる料金を巡るトラブルは後を絶たないという。ホームページに明示していない料金を請求してきたり、なかにはトラックに運び込んだ後になって高額の「運搬料」を請求してきたりする事例もあるという。こうした商売の手法に法的問題はないのか。

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 近々、賃貸マンションから引っ越す筆者が困ったのが、新居では必要なくなる食器棚をどうするか。マンションの5階のため、独力ではマンションの1階まで運べそうにはなく、粗大ごみとして出すのは難しい。そこで利用したのが、不用品の買い取り・回収をうたう業者である。

 ホームページには「出張、見積りは無料」「明朗会計」などと書かれていた。

 ところが、当日……。

「ここマンションですから、トラックまで運ぶ手数料をいただく形になっちゃうんですよ」(従業員)

「運ぶ手数料って、ホームページに書いてなかったですよね。電話でも説明なかったですよ?」(筆者)

「そうなんですけど、どうしてもいただく形になっちゃうんですよ」(従業員)

 自治体による粗大ごみの回収は予約制のため、引っ越し日には間に合わない。仕方なく、数千円を支払う羽目になったのである。買い取り額がつかないのは想定していたが、おカネをとられてしまうとは――。

 ある自治体に聞くと、不用品回収をめぐる、こうした想定外の料金を巡るトラブルや苦情は後を絶たないという。そもそも、こうしたホームページなどに明記していない料金を求めることに法的問題はないのか。

特定商取引法が適用される

 消費者問題に詳しい古藤由佳弁護士(弁護士法人・響)によると、自宅に訪問してもらう形で不用品を回収してもらう取引には、特定商取引法が適用されるという。

「法律上は『売買契約の申し込みを受けたとき』に、購入価格や物品の種類、代金の支払い時期や物品の引き渡し方法などを明示した 書面を交付するか,売買契約を締結し契約書を取り交わさなければならないとされています。ホームページやサービスを宣伝する時点では詳細な見積もりはなく契約の申し込みはないので、ホームページ上にすべての費用を明示することが法律上、求められているというわけではありません」(古藤弁護士)

 なるほど、違法ではないのか。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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