カイのことが大好きなコウ
カイのことが大好きなコウ

 亡くなってからわかったこともあります。荼毘(だび)に付した時に、火葬場の人から「この子の骨は子くらいの大きさだよ」といわれたんです。カイは体も大きいし筋力もあると思っていたけれど、他の猫のようには動けなかったので、骨はきゃしゃだった。それでもがんばって13年生きてきたんだなと、生命力を感じました。

 そして、私にとってカイとの出会いは「大きな意味があった」とあらためて思うのです。

 私は22年前に初めて猫を飼い、その後に愛玩動物飼養管理士の資格を取り、保護活動を始めました。そして、カイを迎えた数年後に、ペットシッターを始めました。

 屋号は<ハウオリ・ハナ>。ハワイ語で「幸せな仕事」という意味なのですが、ほんの少しのペットシッターのお手伝いで、一人暮らしのお年寄りが犬や猫を手放さずに飼ったり、忙しい方が犬や猫を家族に迎えることができたりして、「少しでも、不幸にも処分されるような動物が減るように」と願いながら、お世話をさせていただいています。ちなみに、カイという名前も、ハワイ語の「海」から取りました。

 カイとの暮らしを通し、下肢に障害のある猫とのつきあい方、圧迫排尿のやり方を覚えました。毎日の介護は多少の負担もあったけれど、今後のシッターにいきていくことでしょう。いかしていきたい、と思います。

 だからカイには、貴重な経験をさせてくれて「ありがとう」といいたいです。

おとなになっても目が大きく美しかったカイ
おとなになっても目が大きく美しかったカイ

 5月に予約していた犬や猫と泊まれる温泉宿には行けなかったけど、カイとはおでかけをたくさんしたね。外に行く時はキャリーバッグに入っていたけど、虹の橋を渡った今、生まれて初めて“走って”いるのかな?

 カイの走る姿は見ることができなかったので、目を閉じて想像してみます……。先にいった仲間と会えたら、一緒に思う存分ジャンプして、走り回ってね。

 私はいつの日かまた、カイのような猫と会いたいです。

永遠に愛しているよ
永遠に愛しているよ

(水野マルコ)

【猫と飼い主さん募集】
「猫をたずねて三千里」は猫好きの読者とともに作り上げる連載です。編集部と一緒にあなたの飼い猫のストーリーを紡ぎませんか? 2匹の猫のお母さんでもある、ペット取材歴25年の水野マルコ記者が飼い主さんから話を聞いて、飼い主さんの目線で、猫との出会いから今までの物語をつづります。虹の橋を渡った子のお話も大歓迎です。ぜひ、あなたと猫の物語を教えてください。記事中、飼い主さんの名前は仮名でもOKです。飼い猫の簡単な紹介、お住まいの地域(都道府県)とともにこちらにご連絡ください。nekosanzenri@asahi.com

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水野マルコ

水野マルコ

水野マルコ/1961年生まれ。ライター。猫と暮らして30年。今は優しいおばあちゃん猫と甘えん坊な男子猫と暮らしています。猫雑誌、一般誌、Web等での取材歴25年。猫と家族の絆を記すのが好き。猫と暮らせるグループホームを開くのが夢。

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