また、たいていのは乗り物に乗るのが苦手だと思いますが、カイは車が好きで、騒ぐこともなくバッグの中でぐうぐう寝るのです。犬のふじ丸と一緒に、ペットと泊まれる宿をとって旅行にもいきました。毎年、石川県の夫の実家にも連れていったんですよ。かかりつけの病院が24時間体制ではないので、圧迫排尿のためには一緒に帰省した方が安心でした。

 私たち夫妻に子どもがいないこともあり、両親もカイを孫のように思ってくれました。

昨秋、山中湖に一緒にでかけた時のショット
昨秋、山中湖に一緒にでかけた時のショット

 私たちには子どもがいないと言いましたが、欲しいとずっと思っていました。約10年間、不妊治療をして、その間に婦人科系の病気になり、カイと出会う数年前の40歳の時に子宮全摘出となり、子どもを抱くことを諦めたのです。

 そういう時にホルモンのバランスを崩し、喪失感からうつになることも多いそうです。でも私はそのさなかに、たまたま2匹の先代猫を目も開かぬ状態で保護し、3時間起きのミルクやりのお世話をして、うつになることがありませんでした。猫に助けられたんです。

 カイとの出会いも、偶然でなく必然だった気がします。

 どんな時でも圧迫排尿をしないと生きていけないカイの命をつなぐことは、私にはまさに子育てと同じ。自分の体調が悪い時でもケアをしないとならない。でもそれは成長を見る楽しみと、自分の生きる希望になりました。

どんな時も穏やかだったカイ
どんな時も穏やかだったカイ

 カイの食欲は旺盛で、体重は6キログラムくらいになりました。

 体は不自由ながらすくすくと育ってくれたのですが、10歳になる前くらいから少し体調に変化がでました。糖尿病を発症してインスリンを打ちはじめたのですが、運動が思うようにできないのでコントロールが難しく、何度か低血糖になりました。また、年齢とともに膀胱が固くなり、尿漏れしやすくなり、おむつやマナーパンツをつけるようになりました。

 圧迫排尿を続けるとどうしても膀胱に菌も入りやすいのですが、だんだんと膀胱に炎症が起きて熱を出すことも増えました。そのため、今年に入ってからは一日おきに通院して、膀胱に管をいれて洗浄してもらっていました。下半身を冷やすとよくないので、居間にはカイ専用のコタツを置いて体を温めて。

下半身を温めるための専用のコタツにすっぽり.
下半身を温めるための専用のコタツにすっぽり.
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意識がない状態でマッサージ30分 「もう……いいです」