来年4月の統一地方選については、大阪市長選と大阪府知事選のダブル選挙の可能性が報じられている。れいわの山本太郎代表は、参院議員や衆院議員に当選し、任期途中で辞任して、れいわ所属の党員に議席を譲ってきた。博士も参院議員を辞任し、大阪市長選や府知事選に出馬することはあるのだろうか。

「常識的に、参院議員としての6年の任期を1年足らずで辞めるということは、ないです。ただし、れいわとして候補者を立てるだろうから、ダブル選挙に大きく関わることは間違いないです」

 ダブル選挙で勝つためには、それなりの知名度のある候補者が必要との見方があるが、もし候補者がみつからない場合でも、博士が立候補するということはないのだろうか。

「2万%ないと言っています。2万%と言うと、“あるかも”と言う人がいるから面白い(笑)。自分の中の妄想の中では(出馬も)あったんだけれど、今回の参院選では僕の名前を書いてくれた人が12万もいたわけですから。12万票の付託をもらった重みをすごく感じています」

 選挙期間中に起きた安倍晋三元首相への銃撃事件。容疑者が犯行へと至った背景などについて様々な報道がされているが、その点についても聞いた。

 博士は、まずはどんな背景があれ、絶対に許される行為ではないことを示した上で、

「容疑者の社会的な境遇には身につまされる部分があります。社会的に孤独だった。父親や兄が次々と死んで、自らも自殺しようと思ったことがあり、社会そのものを恨んでいくようになった。容疑者が映画『ジョーカー』について書かれたツイートをリツイートしていたと報じられていたけれど、もし、あの映画に影響を受けていたのならショックですね。ボク自身、社会の中で孤独の中にいたことがあるのでわかる部分はあります。背景には政治的に無関心な若者が多く、一人ひとりが孤独で、貧困が広がっているという社会構造の問題もあると思います。うつ、自殺といった問題にも取り組みたいと考えています」

 との見解を述べた。

 一方、安倍元首相の国葬について、どういう考えか聞いたところ、

「これまでの歴代総理が亡くなっても、国葬というのはほぼなかったわけだから。自民党葬でもいいだろうし、内閣葬でもいいだろうし、国葬でなくてもよいのではないでしょうか。安倍氏と統一教会との関係が取り沙汰されている時に、法的な根拠もなく国葬を強行するというのは、僕は反対します」

 と話した。

 そのほか、政策として重点的に取り組みたいと思っていることも聞いた。

教育の無償化に取り組みたいです。特に『奨学金特政令』を実現したいです。現在、学生時代に借りた奨学金が数百万円にもなって、学校を卒業し、社会人のスタート段階で借金を抱えている若者たちが大勢いる。だから結婚もしたいと思わなくなっている。この奨学金のツケを一回チャラにする法律というのは、けっこう速くできることだと思います。アメリカではつい最近、実際にできたことですから」

 と教育問題に取り組む考えを示した。

 さらに、こんなことも。

「それ以外では水道事業に取り組みたい。東京都杉並区の初の女性区長の岸本聡子氏の著作『水道、再び公営化!』という本を今、読んでいます。僕の名前には『水道』とつくから、自分がやるべき問題だと感じています(笑)」

 やわらかい話に移ったところで、師匠のビートたけしさんや漫才コンビ・浅草キッドの相方の玉袋筋太郎さんのことも聞いた。

「師匠にはメールで当選を報告しました。退院したら、改めて直接会って報告したいです。玉袋からはメールで『おめでとう、水道橋博士先生』と返信がありました(笑)。ダンカンさんには素直に『おめでとう』のコラムをいただき、ストレートで単純なことですが、うれしかった」

 国会では、芸能人としての経歴や特徴なども生かしてもらい、“大暴れ”してくれることを期待したい。

水道橋博士さん(右)と玉袋筋太郎さん=2007年7月
水道橋博士さん(右)と玉袋筋太郎さん=2007年7月

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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