「食品関係の多くは中小企業で研究開発までは手が回りません。自社のテーマを持ち込んで研究に打ち込む受講生も多いですね」(石塚教授)

 ウェルカムホテル高知に勤務する松尾光希さん(31歳)は、21年度にBBコースを受講した。

「コロナの影響で飲食業界は大打撃を受け、お客様も激減しましたが、ただ手をこまねいているだけではなく、この機会にしっかり知識をつけようと思い受講しました。当ホテルのオーナーも修了生で講座の話を聞いており、魅力を感じていました」(松尾さん)

 受講後はお客様を漠然と見るのではなく、どれくらいの年代か、家族連れか、どのような嗜好かなど、情報をインプットするようになったという。また、衛生の講座も仕事に生かしている。

■地域コミュニティを守るソーシャルワーカーの育成

 少子高齢化が進み、コミュニティソーシャルワーカーの役割が重要になっている。東北学院大学地域連携センターでは「コミュニティソーシャルワーカー(CSW)スキルアッププログラム」を開講し、地域福祉のキーパーソンとなるソーシャルワーカーを支援する。同センター長の坂本泰伸教授は、「大学は教育とともに、社会に貢献することも重要な役割だと捉えて16年度に開講しました。東日本大震災では、コミュニティが壊されてしまった地域も多かった。そういう地域の役に立ちたいという思いもありました」と話す。

 講座は社会福祉協議会、NPO法人、民間企業で働く社会人、現役の学生など幅広い層が受講している。プログラムは基礎科目、必須理論、実践技法、特論演習、事例研究の5つに分かれており、基礎から実践的な学びへと体系的に設定されている。

「実践技法のなかには、ファシリテーション技術や災害ケースワークを扱う科目もあります。また、私の講座ではコミュニティソーシャルワークを円滑に進めるために必要となるコミュニケーションの構造と役割の理解を深めていきます」(坂本教授)

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受けている最中から仕事のヒントに