笑福は覚えるスピードが遅いようで、覚えるのになかなか苦労しています。一緒に平仮名の宿題を見ていて思ったのが、今は書けるのが当たり前になってるけど、平仮名ってなかなか難しいような、ということ。例えば「み」とか「む」とか、真ん中に「○」が入ってるようなものとか、難易度高いんだなと気づかされます。

 それでも繰り返しやっていくことで覚えていくのですが、宿題をやる時に、横に座って、なるべく楽しい空気で説明とか解説とか、誉めながらやることが大事だと思って、一緒にやっているとまあまあ時間がかかります。

 保育園の時だったら帰ってきて、ご飯の時間まで笑福は1人で遊んでもらって、僕は仕事を出来たりしたのですが、宿題があると結構その時間を削られていく。

 ある日、笑福を学童にお迎えに行き、家に帰ってきて宿題をやり終わり、僕は自分の仕事に取り掛かろうとしたときでした。笑福が一つ、宿題プリントを隠していたことに気づきました。自分が苦手意識のあるもの。一緒にやるのにまあまあ時間がかかるもの。

 それを見つけた時に「おーーーーー!」と焦りました。僕も書かなきゃいけない台本があって、締め切りを過ぎてしまっている。なるはやでそれを書きたいのだが、宿題がある。

 笑福の横に座り、そのプリントを教え始めたのですが、自分が焦っていたこともあって、笑福につい強い口調になってしまった。その僕の雰囲気に、笑福はテンションが下がる。

 なんとか宿題は終わっても、僕がいら立ちを出してしまったため、笑福はテンションが上がらないので、なんとか一緒に遊んで笑福の笑顔を取り戻す。

 そして自分の仕事にGO。

 と…こんな日々を数日繰り返し。本当に思うんです。妻よ、お母さんよ、ありがとう。

 僕が今、普通に文字を書けたり計算出来たりするけど、そこには、きっと自分の親の努力もあったんだろうなと。

 そういうことに気づけるのも、子育てのおもしろくありがたいところですね。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が発売中。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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