写真:著者提供
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 その後担当したJ-WAVE『GROOVE LINE』との出会いで、こだわっていた「カッコいいDJ」という理想から自由になれた気がします。ご一緒した大先輩のピストン西沢さんからの「もっとありのままでやったら?」というアドバイスもあって、「そうか! そもそも私って、おしゃれタイプじゃなかった」と、霧が晴れていくように、肩の力が抜けていきました。

「こうあるべき」という「型」が抜けたあとのぽっかり空いたスペースに、スーッと降りてきたのが、「じゃあ、私らしさってなんだろう。何をどう磨いていけばいいのだろう」という問い。そこから、ようやく「自分の言葉探し」が始まったのです。

 毎日の放送を聞き直しながら、「オープニングの呼び込みは、ピストンさんのノリに楽しく翻弄されたままのテンションで、もっとくだけた雰囲気でつなぐほうがよかった。リスナーさんと一緒にワクワクする感じになれるし」「クイズコーナーの語尾は『~でしょうか?』ではなくて、『まさか~なんですか?』のほうが普段の自分らしい」など、「よし、明日はこうやってみよう」と自分に小さな宿題を出しました。

「できた!」という回もあれば、「あ、こっちじゃなかったか」「今度はこんなコメントにしてみよう」なんていう日も。トライ&エラー体験を繰り返していくことで、少しずつ自分の言葉が溜まってくるようになりました。

■自分らしさの変化も楽しむ

 大切なのはまずやってみること。

 自分に似合うか、フィットするかどうかは、実際にその言葉を口にして、使ってみないとわかりませんよね。私が憧れた「FMしゃべり」も、何はともあれ実際やってみたからこそ、「違う違う、こっちじゃなかったわ」と、自分に合っていないことがわかりました。

 初めての何かにチャレンジするときは、どこへ向かえばいいのかすらわからない状態です。

 そんなときは、まずは誰かに憧れる気持ちを入り口としてみましょう。見渡す限りの大海原において、「ああ、私はあの方向に進みたい」と心惹かれる「灯台的な人」はいますか?

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その後、糸井重里さんとは…