選手寿命を延ばすためには、ジャンプ偏重にならない採点基準も必要だろう。今回の総会では、演技構成点の項目が現行の5項目から3項目に減らされることも決まった。演技構成点の係数が引き上げられたことで技術点との得点配分は従来とほぼ変わっていないが、演技構成点で何が評価されているのかが分かりにくくなった印象は否めない。ただジャンプを跳ぶだけという競技にならないためには、演技構成点で評価される部分こそが大切なのではないだろうか。

 体が軽い少女達が跳ぶ儚い花火のような高難度ジャンプに驚くのではなく、時間をかけて練り上げたスケーティングを含めてプログラム全体を味わう。フィギュアスケートの女子シングルは、そのような競技であってほしい。(文・沢田聡子)

●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」