しかし、そうした日々に突然、ピリオドが打たれたのです。

■まさかの「安楽死」宣告……

 昨年の10月22日頃から、ケニアの様子がおかしくなりました。高い所を飛び回ったり、急に水をたくさん飲むようになったり、下痢気味になったり……。体に触れると、右側のお腹がふくらんでいました。

 26日に動物病院で検診とワクチンの接種をする予定があったので、ケニアを連れていき、その時にお腹のレントゲンも撮ってもらいました。

 するとドクターに、こう言われたのです。

「もう手の施しようがない……安楽死を勧める」と。

 耳を疑いました。

 なんと両サイドの腎臓の近くに腫瘍があり、右側がかなりの大きさで……手で触った時のあのふくらみは、ガンだったのです。もともと母から白血病ウイルスをもらっていて、それが発症したのだろう……ということでした。

「家に連れて帰って考えてもいいが、(安楽死は)早い方がよい」とドクターは言いました。日本では安楽死を第一の選択にする獣医さんは少ないと思うし、国ごとに考えも違うのかもしれません。

 ケニアには食欲もあり、安楽死の選択など到底できませんでした。

 きっと、ダメな時はケニアが教えてくれるだろう。だから「それまで一緒にいよう」と主人と決めました。家で見守ることにしたのです。最後まで家族と。

炭酸飲料の空パッケージの中で(提供)
炭酸飲料の空パッケージの中で(提供)

 ところがその日から、ケニアは自分の専用ルームに入らなくなり、ベースメント(地下室)に降りたままになりました。猫は調子が悪いと身を潜めて隠れるようになると聞いたことがあります。

 ケニアが上の部屋に来ないので、ベッドやトイレをそこに置き、食事も運びました。痛みが出た場合に備えて、痛み止めを朝晩飲ませ、夜間は数回、様子を見に降りました。

 食欲はずっとありました。ドライよりはウエットを好み、大好きなちゅーるも舐めてくれて。でも1週間で背中や首のあたりが細くなり、2週間経つとさらに痩せたのがわかりました。足元がおぼつかないのにトイレに入ろうとして、やがてそれも難しくなり……。

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「その時」を教えてくれているんだ