愛子さまは2014年に学習院中等科入学に伴い初めて武蔵陵を参拝した。それ以来、参拝の機会は実現できていない。

 また皇后となった雅子さまも祭祀については、体調を考慮して御所で祈りをささげる遥拝(ようはい)が主となっている。そうした状況もあり、愛子さまの伊勢神宮参拝がいつ行われるのかについて、関心も高まっている。

 一方で、古代祭祀を専門とする日本史学者として知られる藤森馨・国士館大学教授は、「そう焦る話しでもない」と考える。というのも、そもそも皇室が伊勢神宮を直に訪れての参拝を始めたのは、明治以降の伝統であるというのだ。

「明治2年に明治天皇が伊勢神宮を参拝したのが最初で、実はそれまでの天皇は誰も参拝に行っていないのです。伊勢が特別な場所であったため、祟りが起きると天皇が参拝に行くことを止める公家もいた。そのため、天皇や皇族方は離れた場所で祈る遥拝を行っていました。御不例のときは、天皇は神祇官に付与して祭祀をおこなわせていたのです」(藤森教授)

あと2年で悠仁さま成年に 

 愛子さまの成年に伴う参拝が遅れている点について、かつて掌典職をつとめた人物はこう話す。

「成年のご報告については、誕生日の祝賀行事が行われた昨年12月5日の朝には、宮中三殿を参拝なさっています。三殿とは、天照大神をまつる賢所(かしこどころ)、皇室の祖先をまつる皇霊殿(こうれいでん)、さらに国内の神々をまつる神殿です。そこで成年の報告をなさっていますので、コロナ禍でできることはなさっているとも見えます。ただし、八王子の武蔵陵墓地はそう距離がありません。海外へ出る際や卒業などの節目で、曾祖父母の陵のある武蔵陵墓地へのご報告をなさるのは、天皇家の内親王としてなされたほうがよろしいかもしれません」

 愛子さまの伊勢神宮と天皇陵の参拝は、コロナ禍が落ち着いたのちに行われると見られる。

「26日に、秋篠宮同妃両殿下の昭和天皇陵ご参拝が終わりました。そして同じ日の夕方、上皇上皇后両陛下が葉山から赤坂御用地の仙洞御所にお入りになりました。これで御代替わりに伴う一連の行事等がひと段落したわけです」(前出山下氏)

 コロナ禍で皇室も人の目に触れない形での活動が主流になり、それが2年以上続いている。

 秋篠宮ご夫妻の伊勢神宮と天皇陵への参拝は、祭祀を守り続ける皇室のあるべき姿を久しぶりに発信する機会となった。

眞子さん結婚問題に端を発した秋篠宮家への批判は、いまだおさまったとは言えません。しかし、悠仁親王殿下が18歳の成年を迎えるまであと2年4カ月ほどです。将来の天皇である悠仁親王殿下が宮中行事や式典などにお出ましになって、存在感が増してくれば、令和の皇室をとりまく空気もまた変わってくるのではないでしょうか」(同)

(AERAdot.編集部・永井貴子)