※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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がんの3大療法の一つである放射線治療は、その機器や技術の進歩によって高精度照射が可能になっている。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数・治療数の多い病院をランキングにして掲載している。ここでは、「肺がんの放射線治療」の解説記事とともに、肺がんに対する放射線治療患者数が多い病院を紹介する。

【ランキング】2020年の肺がんに対する放射線治療の新規患者数が多い病院

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 放射線治療は、早期非小細胞肺がんを根治に導くための有力な選択肢だ。ピンポイント照射と呼ばれる「体幹部定位放射線治療(SBRT)」が威力を発揮する。大船中央病院の武田篤也医師は言う。

大船中央病院 放射線治療センター長 武田篤也医師
大船中央病院 放射線治療センター長 武田篤也医師

「SBRTでは、通常の放射線治療の1・5~4倍ほどの効果を及ぼす線量を照射します。5センチ以下の比較的小さな腫瘍を対象に、狙いを定めて高い精度で治療するため、周囲の正常部分への影響は抑えられます」

■早期非小細胞がんを根治に導くSBRT

 非小細胞がんのI期とII期では、肺葉を切除する手術が世界的に標準治療となっている。肺は五つのブロック(肺葉)に分かれていて、がんができている肺葉単位で切除するというものだ。日本肺癌学会の「肺癌診療ガイドライン2021年版」でも、第1選択は手術。高齢で体力が低下している、心疾患があるなど医学的な理由で手術ができない場合や、切除可能でも手術を希望しない患者に、2番手として放射線治療が推奨されている。「手術を希望しない患者」の記述は18年版から追加されたが、武田医師は「患者さんには放射線治療という選択肢を示されないまま『元気なら手術』となることが多い」と話す。

「放射線治療の成績が手術よりも明らかに劣っているわけではなく、これまでの両者を比較した試験では根拠が不十分でまだ決着がついていないのです。ただ海外で3年および5年生存率は同等である可能性を示す新たな報告も出てきています」

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仕事をしながら治療できる放射線