沈黙を貫いたタモリ。写真は2014年NHK紅白歌合戦のゲスト審査員のひとコマ
沈黙を貫いたタモリ。写真は2014年NHK紅白歌合戦のゲスト審査員のひとコマ

 その頃、ネットの普及と同時期で、視聴者の方々もネットで色々な意見を言えるようになった。その意見の多くは「オマエに何がわかるんだ!」。そこから、最近の意見は、「何も知らない専門家でもないヤツがしゃべったことを放送で流していいのか?」ということになってきているわけですよね。流していいのかではなく、本来は、それを見る、見ないのチョイスするのは視聴者にあるわけです。そういう風な流れからしても、コメンテーターに話をさせる番組の作り方にもそろそろ限界がきているのかなとも思ったりはしている。

 ネットでは僕も批判されたりはするんだけど、一方で街を歩くと「竹山君、あんたの意見、好きなのよ!」とか「『バイキングMORE』終わっちゃうの残念よ~」とか声を掛けられるんです。最近、故郷の福岡に行く機会があったり、ロケで福島に訪問していて、街で声を掛けていただけているのもあるんですが、コメンテーターの必要性に関して、本当のところはどうなんだかわからない。

 コメンテーターという仕事は終わった感を抱きつつも、コロナのことだったら、医師以外はコメントしないのか? ウクライナ侵攻だったら、国際政治学者や軍事評論家しかコメントできないのか? そうなった時に、意見を何も言えない社会になるという懸念がある。テレビで専門家しか発言できなくなったら、ネットに意見を書き込むしかなくなって、今度はそこに書き込んだ人に対して「オマエが何言ってんだ!」となるのでは。言論という視点で見ると、どうなんだろうという思いはある。

 また、どこの局が、専門家だけを呼んだ番組を制作するのか? ですよね。4月の番組改編でもそんな変化は感じられない。特にコロナ禍になって専門家以外の人の発言に賛否色々出たのもあるし、視聴者も疲れているし、番組制作する側も疲れているのもあるけど、尖ったことや角の立つことはもうやめようとなっている。もっと優しい、誰も傷つけない情報番組にしていこうとするのは、時代の流れだと思いますよね。

 個人的に言うと、商売あがったりで俺は困りますけどね(笑)。キレ芸も「ガヤガヤうるさい」「コロナなのに何大きな声出しているんだ」とか、「子どもに大きな声を聞かせたくありません」とか、キレ芸でも排除され、さらにはワイドショーでもその流れと共にコメンテーターを排除していくような動きがあったら、ホント、商売あがったりですよ!(笑)。

■カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。オンラインサロン「竹山報道局」は、昨年4月1日から手作り配信局「TAKEFLIX」にリニューアル。ネットでCAMPFIRE を検索→CAMPFIREページ内でカンニング竹山を検索→カンニング竹山オンラインサロン限定番組竹山報道局から会員登録

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カンニング竹山

カンニング竹山

カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。本名は竹山隆範(たけやま・たかのり)。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後は役者としても活躍。現在はお笑いやバラエティー番組のほか、全国放送のワイドショーでも週3本のレギュラーを持つ。単独ライブ 「放送禁止2017」が9月21~24日、東京・品川の天王洲銀河劇場で開催(撮影/写真部・小原雄輝)

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