大阪市内の宿泊療養ホテルで出された「恐怖のカツカレー」(提供)
大阪市内の宿泊療養ホテルで出された「恐怖のカツカレー」(提供)

 1万939人の新型コロナウイルス感染が2月22日、確認された大阪府。新たに感染者63人の死亡が確認され、1日に確認された死亡者数としては過去最多を更新した。自宅療養者は約7万3000人、入院・療養等調整中の人は5万6000人にも上るという。

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 そんな中、コロナ陽性者がホテルで療養する際、支給される食事について苦情が続出していることをAERAdot.が報じた【大阪のコロナ療養者から食事の苦情続出「国は一食1500円を支給も、安っぽいカツカレーやパンばかり」】(19日配信)が大きな反響を呼んだ。

 国から支給される宿泊療養者の食事代は1食1500円上限だが、大阪市内のホテルで療養した50代のAさんの証言では「朝は飲み物とパン2個」「昼はカツカレー」という貧祖さで1食1500円と到底、思えないような内容だった。

 大阪府危機管理室災害対策課を取材すると、苦情が寄せられていることを認めた上で、「大阪府では1食あたり900円、3食で計2700円という予算です。大阪府がホテルと契約し、その金額の中に食事代が含まれている。国は1食1500円を負担していますが、府の場合、地域の物価水準から兵庫県や京都府とも相談し、この金額にしました」と語っていた。

 国から自治体へ支払う交付金は食事代だけの補助制度ではなく、各種コロナ支援策を包括したものだという。

「基本は1食1500円算定で地方へ交付され、使わなかった分は精算する仕組になっていますが、一括交付金なので、弁当代で浮かせたお金を他のコロナ関連事業に当て込むことは大阪以外でもやっていると思います」(内閣府関係者)

 宿泊療養者の食事問題は大阪府議会でも昨年、取り上げられている。当初は1食500円で3食1500円だったものを、苦情が多く、3食2700円にまで引き上げたという経緯がある。国から1食あたり1500円の予算がついているので、大阪府が「中抜き」の疑念を持たれていることについて、同管理室は「(国からの)交付金は、国の上限額ではなく、実際に食事にかかった費用を申請しているので差額は発生しいない」と弁明していた。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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納入業者を直撃するとホテル側の”中抜き”が判明