(左から)愛媛県出身の和牛の水田、ヒコロヒー、ティモンディの高岸
(左から)愛媛県出身の和牛の水田、ヒコロヒー、ティモンディの高岸

 芸人を出身地ごとに分けると、多数派となるのは、文化の中心地である東京とその近郊の関東地方、そして笑いの本場である大阪とその近郊の関西地方である。

【写真】くりぃむ上田に「天才」と言われながら25年間パッとしなかったのはこの人!

 最近では、博多華丸・大吉の出身地である福岡、千鳥の出身地である岡山なども注目を浴びているが、東京と大阪にはまだまだ及ばない。

 そんな中で、最近にわかに脚光を浴びているのが、愛媛県出身の芸人である。たとえば、昨年12月の『女芸人No.1決定戦 THE W』で優勝したオダウエダの小田結希、同月の『M-1グランプリ』で決勝進出したモグライダーの芝大輔、もものせめる。はいずれも愛媛県出身だ。

 また、『M-1』で5回決勝に行った和牛の水田信二、4回決勝に行ったスーパーマラドーナの武智、バラエティ番組で活躍している女性ピン芸人のヒコロヒー、元高校球児であるティモンディの高岸宏行も愛媛生まれである。

 村上ショージ、中田カウス、友近など、愛媛県出身の芸人は以前から存在していたのだが、最近出てきた芸人の中には徐々にその割合が増えているような気がする。愛媛芸人の魅力や特徴とは何だろうか。

 愛媛県出身者の県民性についてよく言われているのは、温暖で自然豊かな穏やかな気候で育っているため、朗らかでのんびりした優しい性格の人が多いということだ。いつも笑顔でポジティブ発言を連発するティモンディの高岸などはまさにそのタイプに見える。

 また、のんびりが行き過ぎてマイペースで無欲なところもある。東京や大阪は生き馬の目を抜く大都会であり、そこで生まれ育った芸人は初めから競争社会で生きるという覚悟を持っているが、愛媛芸人にはそこまでの強い意志がないケースが目立つ。

 ヒコロヒーはもともと芸人になるつもりはなかったが、事務所にスカウトされて「自分が好きな映画やラジオの仕事につながるかもしれない」と考えてお笑いの道に進んだ。友近はレポーターなどのタレント活動を経て芸人になっていて、その後も歌手や俳優としても活躍している。

著者プロフィールを見る
ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

ラリー遠田の記事一覧はこちら
次のページ
愛媛の方言の伊予弁が功を奏しているのか?