写真はイメージです(Getty Images)
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 妻から夫へのモラハラ被害が深刻化している。女性の社会進出に伴い、男性が加害者、女性が被害者という構図がかわりつつあるのだ。ジェンダーの問題ともいいきれなくなってきている。どのような意識なのか。今回は、夫にモラハラ行為をしてしまった女性の告白から、夫婦間のモラハラを考える

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「夫のぐちを友人に話していたら、『それってモラハラじゃない?』と言われて、ハッとしました」

 東京都在住の会社員、Cさん(36)。現在、共働きの夫婦二人暮らしだ。若くして管理職に抜擢されるなど、職場での人望も厚く、仕事も順調。結婚時には夫と同等の収入だったが、昇進を機に、夫より稼ぎがぐっと増えた。家事は一応、分担制ということにしているが、実質の負担はCさんが8割、夫が2割といったところだ。それでも「家事は仕事の息抜き」だと楽しめる器用なCさんにとって、生活に特に不満はなかったという。

 その気持ちに陰りが見え始めたのが、新型コロナウイルスの感染拡大で、夫婦ともに自宅でのリモートワークが始まったころからだ。リビングで夫婦肩を並べて仕事するのは新鮮で、最初のころは楽しかった。しかし、横で見ていて夫の仕事への取り組み方が、どうしても気になるようになった。

 例えば、オンライン会議での発言。要点を得ず、まどろっこしい説明を並べる夫の声を聞きながら、心の中で「もっとうまく説明しなさいよ」と突っ込んでしまう自分がいる。また、夫が朝始めた資料作成が夕方になってもほとんど進んでいなかったりすると、「こんなに集中力が続かないなんて」と心の中でため息。そのうち、胸の内にとどめていられなくなり、自分の部下にするように夫に説教し始めるようになった。

「まだこれだけしか進んでないの?」「もっと効率的に進めないと」「今までどうやって仕事してたの?」「私が上司だったら怒るよ」

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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夫は近くのカフェに「避難」