本になると聞いたときは本当に嬉しくて、「めちゃくちゃ書き溜めています!」と言っちゃったんですけど、実際はそんなに書いていなかった(笑い)。出版社への持ち込み前日に、1話のどんぐりを拾う話を書いたのが最初です。しかも原稿用紙ではなく、大きめのKOKUYOのノートに(笑い)。コマ詰めすぎとか担当編集者さんに言われたけれど、本になるのが嬉しくてネームをたくさん出しました。もしかしたら、仕事への不満がたまっていたのでしょうか。

 社内でも、「漫画、面白いね」という声があり、いつかアニメ化したいなと思っていました。自分のキャラクターが動く。そして声もいいんです。5分アニメですけど、逆にそのスピード感もいい。当時、ADだった自分にこんな未来は想像もつきませんでした……いつか自分は汚いデスクに埋もれるように死んでいるだろうと思っていたので(笑い)。今回、AD時代お世話になった山里亮太さん(南海キャンデーズ)が声優を担当し、漫画をきっかけに知り合いになった川島明さん(麒麟)もナレーションで参加してくださっています。

■一丸となって大きなものを作る刺激を味わえるテレビ

 テレビ局で活躍する人は、熱意が強い人。番組をヒットさせる方は、障害という壁をどう乗り越えるか、どう取り除くかに長けています。社内外交や、自分の番組を最後までやるぞ!と信念を貫いた人たちばかりで、少しぐらいの困難は気にしない人。そんなテレビマンを私は尊敬しています。

 みんなが一丸となって大きなものを作っている刺激は、テレビならではの醍醐味ではないでしょうか。個人が発信できる時代になりましたが、それでも1フレーム1フレームにこだわって、番組を作っている。

 テレビの価値はこれからも、薄れないと思っています。

(取材・文/長谷川拓美)