後日、家族3人で会いにいき、子と対面したのですが、娘は「可愛い!」といって、ちゅーるをあげたり、抱っこしたり。それが、雪ちゃんです。主人は猫を飼ったことがなかったので、まだ不安が残ったようで。一度家に帰り、気持ちを固めて迎える準備をしました。

 そうして12月後半、雪ちゃんが家にやってきたのです。競技から離れ、ちょうど4か月経っていました。

 はじめ、雪ちゃんは環境変化で緊張したのか、保護主さんが帰った後にみゃあみゃあ鳴いていました。私も子猫を飼うのは久しぶりで、こんなにふわふわなんだ、と新鮮でした。ごはんは食べても、おしっこをしてくれなくて心配でしたが、翌々日、耐えられない感じでトイレの前でじゃー。ほっとしました。

 そこから家に慣れるのは、早かったですね。

◆雪ちゃんはセラピスト、娘に寄り添い受験を支える

勉強の時も一緒(提供)
勉強の時も一緒(提供)

 娘は最初こそ、おっかなびっくりの抱っこでしたが、雪ちゃんがすぐに娘に懐いたんです。ごはんやトイレの世話は私がするのに、雪ちゃんが好きなのはなぜか娘のようで。必ず娘の傍らにいるのです。勉強中に問題を解く腕の上に乗っていたかと思えば、寝る時は枕元に座り、寝かしつけるように見守っています。

 そんなふうに猫と過ごすうちに、いつしか娘に笑顔が戻ってきたんです。

「重たい」なんて言いながらも自然と笑って。あんなに猫に甘えられ、絆を結ぶというのは、私自身の子ども時代を振り返っても経験がありません。

 実は、話が前後しますが、競技を辞めてからすぐに娘から「中学受験がしたい」と言われ、チャレンジすることになりました。そこに雪ちゃんがやってきたのです。娘は自分の意志で競技の場から塾に場所を変え、大会から受験に目標をチェンジしたわけです。

 娘が目指したいと言ったのは、親戚も卒業した私立の女子中学。中学受験は小3の2月から塾に通って準備を始めるのが多い中では、小5の秋からのスタートは遅めでした。

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コロナ禍で一斉休校……猫の雪ちゃんは寄り添い続けた