毒蝮三太夫さん(撮影/写真部・張 溢文)
毒蝮三太夫さん(撮影/写真部・張 溢文)

「ジジイ」「ババア」のトークでシニアを中心に人気の毒蝮三太夫さん。今回は出演する話題の映画「老後の資金がありません!」(10月30日全国公開)の話から、毒蝮さんが理想とする「ジジイ・ババア」の心得について伺いました。

【写真】「笑点」で座布団運びをしていた毒蝮さん。半世紀前に撮影された貴重な一枚はコチラ

* * *

 今回の「老後の資金がありません!」には、主人公・篤子(天海祐希)の友人、サツキ(柴田理恵)の父親・大泉健三役で出演しました。日本刀を振り回して暴れ回ったり、天下の草笛光子さんに向かって「ババア!」って言ったり。もちろん、台本にあったセリフだけど、何とも気持ちよかったですね。

 役どころは、曲がったことが絶対に許せない元警察官。オレも若い頃は“科学特捜隊”として世の中のために怪獣と戦っていたから(※1966年に特撮ドラマの「ウルトラマン」(TBS系)に出演。科学特捜隊のアラシ隊員役を演じた。)、まさにぴったりの役だったんじゃないかな(笑い)。

 映画に出演するのは本当に久しぶりでした。普段、講演会は1人で壇上に立つし、おまけにコロナの影響で、ラジオ番組で街頭に出ることが長い間できない状態が続いたので、たくさんの共演者やスタッフと一緒に一つの作品を作っていくのも久しぶりで楽しかったね。

 昔とはずいぶん映画の撮り方も変わりました。今は35ミリのフィルムなんかは使わないし、現像してからチェックしてなんていう作業も必要ない。全部デジタルだから、完成までのスピードも早い。オレももう85歳だけど、長生きして役者を続けてきたおかげで、新しいことの経験もできてよかったと思いますよ。

■69歳のときに緊急手術で41日間の入院生活

 オレが芸能界に入ったのは1948(昭和23)年。テレビ放送が始まったのが1953年だから、最初の頃は、舞台やラジオ、映画が主な仕事。映画もテレビも最盛期に役者として、その舞台に立っていたわけだから、いい時代でしたね。

 それから70年以上続けてきて、85歳になった今でも、こうして仕事をさせていただいているのは、我ながら幸せなことだと感じています。

次のページ
日野原重明先生に言われた言葉は…