高校時代から打撃にも定評のあったヤクルト寺島成輝 (c)朝日新聞社
高校時代から打撃にも定評のあったヤクルト寺島成輝 (c)朝日新聞社

 今年も様々なことがあった野球界だが、日米を通じて最も話題となったのはやはり大谷翔平(エンゼルス)の活躍だろう。惜しくもホームラン王のタイトルこそ逃したものの46本塁打、100打点をマークし、さらに投手としても9勝2敗、防御率3.18と先発として十分な役割を果たしてみせた。日本人選手としては2001年のイチロー(マリナーズ)以来となるMVP獲得の可能性も極めて高いだろう。

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 そしてそんな大谷の活躍は他の選手にも影響を与え始めている。メジャーでは外野手として活躍している若手有望株のバードゥーゴ(レッドソックス)が2023年までに二刀流に挑戦する意向を持っていることを表明。外野からの強肩が武器で、高校時代は本格派投手だったとことと今年で25歳という若さを考えると、決して非現実的なことではないだろう。

 また日本の大学球界でも日本体育大の3年生、矢沢宏太がDH制のある首都大学リーグながら投手で4番として出場。投手としては最速150キロのスピードと鋭いスライダー、野手としては抜群のパンチ力と脚力で二刀流の可能性を感じさせるプレーを見せている。そこで今回はNPBの25歳以下の若手にも二刀流の可能性を秘めた選手はいないのか、探ってみたいと思う。

 まず投手としても高い能力を持っている野手ということで真っ先に思い浮かぶのが根尾昂(中日)だろう。中学時代から145キロを超えるスピードをマークする本格派投手として注目され、大阪桐蔭では2年春、3年春と2年連続で選抜高校野球の優勝投手にもなっている。チームのエースは柿木蓮(日本ハム)だったが当時の実力的には同等で、また同期の投手でプロ入りした横川凱(巨人)よりも安定感は上回っていたことは間違いない。現在の外野から見せる低くて伸びる返球を見ても、まだまだ投手としてのポテンシャルは十分に秘めているように感じる。甲子園での快投を見ていた高校野球ファンの中にも、プロのマウンドに根尾が立つ姿を見たいという声も多いはずだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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