「『プロ野球観戦の場所』から、『楽しい場所で野球がやっている』と意識を転換した。球場は少し前までは野球の知識を少しでも持っていないと楽しめない場所だった。男性客の割合が圧倒的に多く、平日のナイターなどはサラリーマンの居酒屋状態。また飲食物などは値段の割に質が低いものばかりだった。今のハマスタはディズニーランドのようなベイスターズ・テーマパークになった。初めて行っても楽しめ、次も行きたくなる場所という声を聞きます。まさに米国のボールパーク、欧州のサッカースタジアムのようです」(メジャーリーグに詳しいスポーツライター)

 球団主導のソフト面では新しい試みが次々に行われる。チームキャラクターの星をイメージした『YOKOHAMA STAR☆NIGHT』や女性をターゲットにした『YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL』は大人気イベントに定着した。また近所の人が気軽に立ち寄ることのできる球場横での『ハマスタBAYビアガーデン』の開催など、野球を知らない人でも足を運んでみたくなるイベントが次々に開催されている。

 ハード面では球場が改修され居心地の良さが格段に上がった。トイレ数を大幅に増やし全個室に洗浄機を設置することで女性ファンの不満が大幅に減った。そして観客席も多様なニーズに対応できるよう多くのタイプが用意された。中でも19年にできたバルコニーから横浜の街を一望できる個室タイプ『NISSAN STAR SUITES(日産スタースイート)』は大きな話題となった。極め付けは東京五輪に合わせ増設された外野席上段のウイング席。風を感じながら見下ろすように試合を楽しめる人気席だ。

「球場に長時間滞在してもらうことで客単価が上がる。そのためには居心地の良い環境を提供する必要がある。熱烈なファン、家族連れ、デート、ビジネスなど客の用途は様々で、それぞれ適したタイプの席を選択できるようになった。飲食物も同様で金額に見合った品質のものなら喜んで買ってくれる。お客さんが喜び球場全体でお金を生み出すことができる。誰にとってもwin-winの最高の球場です」(メジャーリーグに詳しいスポーツライター)

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