※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 ちなみに、はしか様の皮疹はファイザーのワクチンで多いようです。このような皮疹を診たときに難しいのは、COVID-19だけでなくほかのウイルス感染でも同様の皮疹が出現することです。血液検査で疑わしいウイルスに対する抗体値を測り、どれも違うと否定してはじめてコロナワクチンによるブツブツだった可能性が高まります。現段階では、状況証拠的にワクチンとの因果関係を考えるしかありません。

 ワクチン接種後のヘルペスも多く報告されています。唇や陰部にできる単純ヘルペス、いわゆる「熱の花」というもの。また、帯状疱疹(たいじょうほうしん)も出現しやすいと報告があります。論文では、ワクチン接種後に13.8%の人がこれらのヘルペスウイルスの再活性化が起きたと報告されています。

 ヘルペスの出現もコロナワクチン特有の副反応ではなく、COVID-19の感染でも報告されています。さらに、ほかのワクチンでのヘルペスウイルスの再活性化の報告例もありますのでコロナワクチン特有というわけではないようです。治療は一般的な帯状疱疹と同じです。この帯状疱疹ですが、帯状疱疹に対するワクチンも登場しています。本邦では50歳以上の人が適応となります。帯状疱疹は痛みが長く続く人も多く、防げるならそれに越したことはありません。

 以上、コロナワクチン接種後に起きる代表的な皮膚の副反応についてまとめてみました。原因がなんであれ、上記のような症状が皮膚に起きれば治療は同じです。気になるブツブツが出たら皮膚科に受診するのが良いでしょう。

参考文献:Br J Dermatol. 2021 Jul 13;10.1111/bjd.20639. doi: 10.1111/bjd.20639.

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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