コロナのワクチン接種が進むなか、副反応についての情報が国民の関心事となっています。世界中で報告された副反応の論文などから、近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が皮膚の副反応について解説します。

【最新データ】こんなに違う!3社各ワクチンの副反応を徹底比較

*  *  *

 COVID-19に対するワクチンを2回接種した人が国民の5割を超えました。副反応で発熱が起きた人、注射部位が赤く腫れるモデルナアームを経験した人、さらにはわきの下のリンパ節が腫れた人など、さまざまな報告を耳にします。

 私は皮膚科医なので、ワクチンの副反応と思われる皮膚疾患を多く診てきました。世界中から皮膚の副反応をまとめた報告が相次いでいます。そこで今回はCOVID-19に対するワクチンで起きうる皮膚の副反応についてまとめたいと思います。

 まず最も有名な皮膚の副反応であるモデルナアーム。これは9割が女性というデータが国内外から出ています。出現時期は1回目の接種から1週間前後、2回目の接種からは1、2日後に起きやすいと言われています。ワクチンの種類ではモデルナで多いわけですが、ファイザーのワクチンでも報告があります。治療は抗アレルギー剤の内服とステロイド外用剤を用いるのが一般的です。

 次に、じんましん。COVID-19に対するワクチンを接種した後にじんましんが出現した患者さんも多くいらっしゃいました。スペインからの報告では、ワクチン後のじんましんを経験した人は約3割が中等症以上だったようです。一般的にじんましんは抗アレルギー剤を内服すれば治まるのですが、これだけでは不十分だったようです。抗アレルギー剤を2倍量内服したり、ほかの抗アレルギー剤を併用したり、じんましん診療ガイドラインに従ってH2受容体拮抗薬を一緒に飲んでもらう症例もありました。ちなみに、じんましんはCOVID-19に感染した際も出現する皮膚の症状なので、ワクチン特有の反応ではありません。

 はしかのようなブツブツも報告されています。私たち皮膚科医がよく診る皮疹の一つにウイルス疹と呼ばれるものがあります。さまざまなウイルス感染症にともなって皮疹が出現します。二重丸のように見える皮疹、多形滲出性紅斑(たけいしんしゅつせいこうはん)もその仲間です。COVID-19に対するワクチンを接種した後、このようなブツブツが出現した患者さんを多く診察しました。

著者プロフィールを見る
大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

大塚篤司の記事一覧はこちら
次のページ