効率的な病院経営をすれば全国で5万床が浮くという前提だが、いまこそ、その5万床はコロナ病床に振り向けるべきだろう。

 城東病院は、この見直しリストに入っていた。このとき厚労省は、公立と公的病院について、(1)がん、(2)心疾患、(3)脳卒中、(4)救急、(5)小児、(6)周産期など、九つの診療実績が「特に少ない」と判断した病院をチェックした。すると、9項目のすべてにチェックが入った病院が277あった。また、(1)~(6)について同程度の診療実績がある病院が近くにあるかどうかも調べた。すると、277病院とは別に、6項目すべてでチェックがついた病院が147あった。税金などで優遇される病院として役割を果たしているかどうか、近くの病院で代わりが利かないかを、実績をもとにあぶり出す調査だった。

 この調査で城東病院は、9項目と近隣病院の6項目について、すべてにチェックが入り、存亡の危機に立たされていた。当時124床あった救急病床の稼働率は86%とされたので、平均して20床近くの空きがあったことになる。

 JCHOは都内に5病院あるが、本部のある東京都港区の東京高輪病院(247床)も、脳卒中や小児医療など6項目で診療実績が特に少ないと指摘された。

 この調査でJCHOは、57病院中18病院が検証リストに入った。城東病院と同様の負け組病院だが、緊急事態宣言が出ている21都道府県にも8病院がある。そのうち、さいたま市北区のさいたま北部医療センターも、9項目すべてが特に少なく、近隣病院6項目もすべてにチェックが入った。当時、163あった救急病床の稼働率はわずか47%だった。仙台南病院(仙台市)、千葉病院(千葉市)も「9」と「6」の全チェックが入った。

 逆に言うと、これまで負け組と見なされていたこうした病院も、コロナ禍で頑張れば地域住民の信頼を取り戻せるかもしれない。東京城東病院を見習って、専用病院になるなど、いまこそ、足りないと指摘を受けた地域医療での役割を果たす時だろう。

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「負け組」は今こそ地域に貢献を