「バスケットボール女子日本代表の妹・桃仁花が活躍するとオコエ自身の名前も取り上げられた。五輪銀メダル獲得に刺激を受けたのもあるだろうが、オコエ自身にも再び注目が集まったのが大きかったのだろう。比較もされたが、それさえプラスに考えられる精神力がある。根っからの目立ちたがり屋だから気持ち良くプレーできている」(楽天担当記者)

 スポットライトが当たる快感を思い出したのかもしれない。高校時代(東京・関東一高)から身体能力を生かしたド派手なプレーがトレードマーク。強打に加え、積極的な走塁や信じられない守備範囲で15年夏の甲子園で活躍し、一躍高校野球界のスター選手となった。そして同年のドラフト1位指名で楽天入りすると、高卒新人として開幕一軍入りを果たしフレッシュオールスターでは優秀選手賞を獲得。2年目には41試合に出場し、打率.300、3本塁打、11打点をマークした。プロでも一気に定位置を獲得するかにも見えたが、それ以降は伸び悩み、昨年は一軍出場ゼロ。注目度は年を追うごとに低くなり、聞こえてくるのは野球選手としての将来を不安視する声ばかりとなった。

「石井監督の存在も大きい。厳しいコメントを出していたがフォローを忘れることはなかった。独特の感性を持ち、人と異なったことをやりたがる性格が似ているのかもしれません。オコエのコンディションは常にチェックしていて起用するタイミングを見極めていた。後半戦、逆転優勝へ向けてのキーマンだと信じています」(楽天関係者)

 石井監督は現役時代、ノーヒットノーラン達成目前で降板を直訴したことがあった。また引退の理由を「マンネリ化」と語るなど、従来のプロ野球選手とは考え方がまったく異なっていた。オコエの言動に対しても周囲とは違う捉え方をしていてもおかしくない。今季からのGM兼任監督就任時にも批判の声が渦巻いたが、現状首位オリックスから2ゲーム差の2位と結果を残している。今まで歴代の楽天監督が“手を焼いていた”オコエのことも石井監督だからこそコントロールできているのかもしれない。

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後半戦は楽天のキーマンに?