花巻東の佐々木麟太郎 (c)朝日新聞社
花巻東の佐々木麟太郎 (c)朝日新聞社

 東京オリンピックでの金メダル獲得に沸く日本球界だが、今年個人として最も話題になっている選手となるとやはり大谷翔平(エンゼルス)になるだろう。二刀流でのプレーが日常的なものになっているのはもちろんだが、やはり大きいのはホームランを量産している点である。8月に入って少しペースは落ちているものの、このままいけば日本人選手としては初となるメジャーリーグでのホームラン王も十分射程圏内と言えるだろう。

 そして一人のスーパースターが現れるとその影響はアマチュア球界にも広く影響することになる。かつてイチロー、松井秀喜の2人が揃って活躍したことで右投左打の選手は増え、イチローの振り子打法を真似する高校球児や子供たちも多かった。最近では佐々木朗希(ロッテ)の影響で、ステップする側の足を高く上げるピッチャーも増えている。大谷についての影響が大きく出ているのはやはりバッティング面で、この夏の甲子園に出場しているチームにも地方大会でホームランを量産している選手は少なくない。主な選手をピックアップしてみたところ、以下のような顔ぶれと本数となった。

金子京介(盛岡大付3年・一塁手):5本(5試合)
太田舷暉(米子東2年・外野手):5本(4試合)
和田航弥(日本航空3年・二塁手):4本(5試合)
皆川岳飛(前橋育英3年・外野手):3本(6試合)
谷大生(松商学園3年・三塁手):3本(4試合)
高木翔斗(県岐阜商3年・捕手):3本(6試合)
石黒和弥(高岡商3年・遊撃手):3本(5試合)

 金子は岩手大会で5試合連続、太田は鳥取大会の準決勝で3本のホームランを放ってチームを牽引。皆川も初戦から3試合連続ホームランを放っており、熊谷も故障明けで出場は6試合中4試合にとどまりながらも3本塁打を放っている。この中では金子、皆川、高木の3人は特にプロからの注目度も高い。さらに田中晴也(日本文理2年)、山田陽翔(近江2年)、花田侑樹(広島新庄3年)の3人は投手と野手を兼任しながらいずれも地方大会で2本のホームランを放っており、投打両面で高い才能を見せている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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話題となった1年生の大砲