コロナ禍で開幕する東京五輪。選手や大会関係者の感染が明らかになっている中で、天皇陛下は、新型コロナウイルスのワクチン1回だけの接種で、今夜23日の開会式に臨む。雅子さまは同席せずワクチン接種の有無も非公表。陛下が感染拡大を懸念していると長官が訴えていながら、チグハグぶりが目立つ。その真意はどこにあるのだろうか――。
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「五輪に対する皇室の姿勢は、通常の外交儀礼(プロトコール)で考えれば不自然なことが多いです。これは今まで経験したことのないパンデミック下の行事であるという事情が主な原因でしようが、それに加えて、宮内庁がうまく対処しきれていないのかも知れないし、もしくは別のメッセージがあるのかも知れません。」
そう話すのは、平成の時代に上皇ご夫妻の侍従を務めた大阪学院大学外国語学部教授の多賀敏行氏。東京都儀典長、駐チュニジア、ラトビア大使などを歴任した元外交官だ。
7月22日、天皇陛下は皇居・宮殿でIOCのバッハ会長ら19人と面会し、新型コロナ禍での東京五輪について、「深く敬意を表します」と英語であいさつを述べた。
バッハ会長は、陛下に対して「日本の皆さまに危険をもたらすことのないよう、最大限の努力をしていることを、陛下に改めてお約束します」と伝えた。これは、6月に西村宮内庁長官が、「開催が感染拡大につがらないか、天皇陛下がご懸念されていると拝察している」と発言したことを受けたものだろう。
感染防止のため、この日と翌23日の各国首脳らへの接遇では祝宴などは行わず、短時間で終えた。
宮内庁は、接遇も開会式も皇后雅子さまの同席はなく、陛下おひとりで臨むことになった理由について、「来日する要人らが配偶者を同伴しないため」と説明している。
だが先の多賀教授は、儀礼上のルールといっても自由に動かせる余地はないわけではない、と話す。
「要人を単身で日本に招待したとしても、もてなす側は主人に加えて夫人も同席して接待にあたることは、ありうることで、むしろお客に対する好意と受けとられる場合が多い。特に客に女性が居る場合はそうです。米国の代表は、ジル・バイデン米大統領夫人ですから同じ女性である皇后雅子さまが加わることに、何ら不思議はありません」