この酒野聖を誰に頼むべきか?いろんな案が出ましたが、やはり小出君に頼むべきだと。そして引き受けてくれたので、5、6話は小出君の人生が被って見えるかもしれないような物語にしました。

 撮影が終わり、僕がインタビューをさせていただきました。やはりこの物語を引き受けるには勇気がいったと思います。だけど踏み出さない限りは変わらないし変われない。

 小出君、今回のドラマを撮影している時に、ロケに出て、一般の人が自分の人を見た時の、その時の「目」について語ってくれました。多分、その人は意識していないだろう、目。自然とニヤリとしてしまう口元と目。それが今、自分の立ち位置。

 僕がこのドラマを始めるにあたり、リモートで小出君と打ち合わせをさせてもらいました。それがこのドラマのスタート。最初にリモートのモニターから見える小出君を見て、安心しました。格好良かったからです。芸能人だったからです。

 仕事をあまりしてない中で、これを維持するって大変なんです。小出君はずっとその意識を持って待っていたのです。

 失敗って誰にでも可能性がある。失敗した人を叩くのは簡単です。だけど、そこから再びスタートラインに立とうとしている人を応援できる人でありたい。

 唯一無二のドラマ。賛否両論飛び交うであろうこのドラマと一人の役者、小出恵介の覚悟と勇気を見てほしい。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。毎週金曜更新のバブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」と毎週水曜更新のラブホラー漫画「お化けと風鈴」の原作を担当し、自身のインスタグラムで公開中。YOASOBI「ハルカ」の原作「月王子」を書籍化したイラスト小説「ハルカと月の王子様」が好評発売中。作演出を手掛ける舞台「もしも命が描けたら」が8/12~22東京芸術劇場プレイハウス、9/3~5兵庫芸術文化センター阪急中ホール、9/10~12穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホールにて上演。お酒によってあぶり出される人間の本当の弱さや愚かさ、現代社会の闇を描くABEMAオリジナルドラマ「酒癖50(フィフティ)」の脚本を担当。7/15(木)22:00よりスタート。全6話。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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