女優・木村多江氏は、「過去」は「肩書」とも結びつくとしたうえで、内村をこのようにたたえた。

「人は肩書に左右されがちです。先生と呼ばれたら先生ぽくなったり、社長と呼ばれたら社長ぽくなったり。内村さんは常に『肩書がない自分』を磨こうとしている気がします。過去の実績がつくった肩書があってもそれに乗っからず、いつも裸のままの内村光良で頑張るんだ! と」
 
 リーダーは部下と向き合うとき、「過去」の自分という幻影をまとわずに、常に「現在進行形」の自分でぶつかり合うべきなのだ。
 
「内村さんは過去に興味がない。そんなことより、新しいことをやっていこうとする。だから賞味期限が切れない感があるのではないでしょうか。常にアップデートされて、新しいことに挑戦しているから、いつまでも現役でいられるんでしょうね」(『スカッとジャパン』総合演出・木月洋介氏)
 
 このように、「過去の功績を忘れること」は、「自己成長を追い求める」マインドサイクルを育てるために極めて重要なスタンスであり、人生100年時代において、「生涯現役」を目指すビジネスパーソンたちが参考にすべきヒントがここにあるといえよう。

●畑中翔太(はたなか・しょうた)
博報堂ケトルクリエイティブディレクター。アクティベーション領域を軸に手段とアプローチを選ばないプランニングで、「人を動かす」統合キャンペーンを数多く手掛ける。 これまでに国内外の150以上のアワードを受賞。Cannes Lions 2018 Direct部門審査員。2018年クリエイター・オブ・ザ・イヤー メダリスト。