この2人以上に高い評価になることが予想されるのが右腕の椋木蓮(東北福祉大)だ。リーグ戦の終盤で調子を落とし、大学選手権では先発を回避したものの、リリーフで最速154キロをマークして改めてポテンシャルの高さを見せた。短いイニングであればストレートはほとんどが150キロを超え、球持ちも長いため低めのボールも勢いが落ちることがない。140キロを超えるカットボールと、少しスピードを落としたスライダーもしっかりコントロールすることができており、制球力の高さも光る。昨年秋は抑えで抜群の成績を残しており、リリーフであれば即戦力としても期待ができる。大学生の右投手では総合的に見てナンバーワンと言える存在で、1位の12人に入ってくる可能性は高い。

 野手で最も高い評価を受けそうなのが優勝した慶応大の4番、正木智也だ。最初の2試合はノーヒットだったものの、準決勝と決勝ではいずれも先制のツーランを放つ活躍を見せ、MVPを獲得した。軽々とスタンド中段へ運ぶパワーは間違いなく大学球界ナンバーワンであり、カウントや場面によって軽打狙いに変えられるところも長所。左足を高く上げ、バットのヘッドも中に入るフォームだが、タイミングの取り方がゆったりとして、以前よりもボールを長く見ることができるようになった。守備と走塁に関しては目立つところがなく、打撃に特化した選手ではあるが、貴重な長距離砲だけに強打者タイプの不足している球団が上位で狙う可能性は十分にありそうだ。

 野手でもう一人強いインパクトを残したのがブライト健太(上武大)だ。昨年まではリーグ戦通算0安打で、レギュラーとなったのはこの春からだが、いきなり3本塁打12打点の大活躍でMVPを受賞。今大会でも初戦で隅田から値千金の一発を放つと、準々決勝の東農大北海道オホーツク戦でも打った瞬間に分かるホームランをレフトスタンド中段へ叩き込んで見せた。少しステップが淡白なのは課題だが、無駄なバットの動きがなく、シンプルな動作で強く振り切ることができている。守備では一歩目のスタート、走塁も判断などに経験不足を感じる面はあったものの、基本的な運動能力の高さがあるのも魅力だ。実績がこの春だけというところを本人とプロがどう判断するかというのは気になるところだが、今大会で最も評価を上げた野手であることは間違いないだろう。

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