阪神の新助っ人アルカンタラ(写真提供・阪神タイガース)
阪神の新助っ人アルカンタラ(写真提供・阪神タイガース)

 新型コロナウイルスの感染拡大はプロ野球にも様々な影響を与えているが、特に例年と大きく異なっているのが外国人選手の来日だ。中にはクロン(広島)のように年明け早々に来日したケースもあったが、多くの新外国人はキャンプインしてもなかなか合流することができず、戦力が揃ったのはシーズン開幕後というチームが大半だった。そんな来日の遅れもひと段落した印象を受けるが、遅れて合流した外国人選手の中から主力として期待が持てそうな選手をピックアップしてみたいと思う(※成績は5月21日終了時点)。

 まずセ・リーグで順調なスタートを切ったのがスモーク(巨人)だ。デビュー戦となった4月27日のヤクルト戦で2安打を放つと、翌日には来日1号となるホームランを含む3安打をマーク。同じタイミングで一軍に合流したテームズがいきなりアキレス腱断裂で長期離脱となるショックを吹き消すような活躍で、チームの連勝に大きく貢献した。その後も16試合の出場で16三振と打撃の粗さはあるものの、4本塁打を放つなど前評判通りの長打力をいかんなく発揮している。

 スイッチヒッターで、どちらの打席からも長打を放てるというのは大きな魅力であり、坂本勇人が故障で離脱しているチームにとっては非常にありがたい存在と言えるだろう。今後データが揃ってくると打率が下がっていくことも予想されるが、6番あたりでその長打力を発揮できればチームの得点力アップに繋がる可能性は高いだろう。

 セ・リーグの野手でもう1人活躍が目立つのがサンタナ(ヤクルト)だ。4月23日の中日戦から一軍に合流し最初の2試合はノーヒットだったものの、3試合目で来日初安打となるホームランを記録。5月に入ってからは2度の猛打賞、4度のマルチヒットと徐々に調子を上げ、ここまで19試合で4本塁打、14打点という成績を残している。

 2017年にはメジャーで30本塁打も放った右のパワーヒッターで、その分三振も多いという欠点はあるものの、全て強引に引っ張るスタイルではなくセンター中心に打ち返す打撃が目立つ。特筆すべきはその勝負強さで、ここまで得点圏での打率は4割近く、状況に応じてヒット狙いに切り替えられるのも強みだ。クリーンアップを任せるには少し確実性に乏しいものの、現在のように7番で起用し続けることができれば、相手チームにとっては脅威の存在となりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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