「1年目から二軍ではずば抜けた存在で、間違いなく一軍でも結果を残せると感じさせた。最終戦での3安打も鮮烈だったが、それ以上に印象に残ったのは同日に記録した思い切りの良いプロ初盗塁。2年目の骨折は、持ち前のスピードがアダになった形だったが、巨人の野球が変わると感じさせた」(在京スポーツ局担当者)

 プロ3年目の19年には開幕から11試合で打率.390を記録し、大ブレークを予感させた。ところが腰痛が悪化し、出場選手登録を抹消されシーズン最後まで復帰できなかった。

「開幕戦が鮮烈だった。3連覇中だった広島相手にチームは負けたが3安打を放った。その後は腰痛を発症して試合にも出られない。チームも優勝して存在感が薄れてしまった。腰の負担を減らすために外野に挑戦するなど、内野手でのレギュラー再奪取は難しいとも感じた」(巨人担当記者)

 昨季は、初めて規定打席に到達し、打率.274、8本塁打、32打点、11盗塁と結果を残した。シーズン終盤には再び1番を任されるまでになり、周囲が待ち望んだ定位置奪取は確実視された。しかし今年もキャンプ中から出遅れる形となり、飛び抜けた存在になれなかった。

「北村(拓己)が二塁のレギュラーを取ると面白い。もちろん、吉川は昨年も良い経験をしたけど、数字的には高い選手ではない。足も速いが、スチールなら増田(大輝)の方が走力がある。(吉川は)相当、奮起しないといけない」(原監督/2月16日付スポーツ報知)

 キャンプ中、元阪神・藤川球児との対談においても吉川の評価は高くなかった。本来なら1番・二塁を任せたい選手であるはずだが、原監督には物足りない部分があるようだった。

 そして3月26日のDeNAとの開幕戦、2番・二塁手でスタメン出場したのは若林だった。メジャー帰りの楽天田中将大から本塁打を放つなど、オープン戦では打率.371、2本塁打とアピール。また、原監督が名前を挙げた北村、増田らが虎視眈々と試合出場の機会を狙っている。

 そんな状況下の開幕戦、吉川は代走起用されながら牽制球で誘い出されアウトになった。また3月30日の中日戦(バンテリンドーム)ではセカンドゴロをエラー。オープン戦でも走塁のミスを指摘されるなど、精彩を欠く場面も目立った。考えられないような凡プレーは、焦りが要因と指摘する声もあるほどだ。

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結果を出さなければいけない“焦り”で空回り?