18年、子宮頸がんでも腹腔鏡手術が保険適用となった。がんの大きさが2センチまでを腹腔鏡手術の目安としている病院が多い。現在、日本産科婦人科学会の腹腔鏡下広汎子宮全摘出術登録施設でのみ実施されている。腹腔鏡手術を望む場合でも、開腹手術と腹腔鏡手術を同じくらいの割合で手がける病院のほうが、技術に信頼がおけるだろう。

 一方、がんの大きさが4センチ以内のIB1期では放射線と薬物療法を組み合わせる「化学放射線同時併用療法」も手術と同等の効果がある。

「持病があって手術ができない、手術を希望しないなどの場合は、放射線治療の症例数を目安に病院を選ぶといいでしょう」(加藤医師)

■卵巣がんの多くはステージIII以上で発見

 卵巣がんは自覚症状がほとんどなく、多くはステージIII以上で発見される。この場合、手術を選択するか、手術の前に薬物療法をおこなうかなど、治療法の選択肢は複数ある。病院の考え方をしっかり聞き、希望する治療を受けられるかどうかを確認しよう。

 婦人科のがんは1年間の患者数が1万~2万人で、けっして多くはない。年間、20~30例を手がける病院が一つの目安となる。なお、がん治療後に妊娠・出産を希望する場合は、「妊孕性温存手術」をおこなっているかどうかが病院選択の基準となる。高度な技術が必要となるため、主治医とよく相談のうえ、妊孕性温存手術を多く手がける病院を紹介してもらおう。

 ランキングの一部は特設サイトで無料公開しているので参考にしてほしい。「手術数でわかるいい病院https://dot.asahi.com/goodhospital/

【医師との会話に役立つキーワード】

《センチネルリンパ節生検》(子宮体がん・子宮頸がん)
蛍光色素や放射性物質を注入し、最初に到達する「センチネルリンパ節」への転移の有無を検査。転移がなければ、ほかのリンパ節転移の可能性は低いと考えられ、郭清の範囲を小さくすることができる。保険適用ではないため、臨床試験的に実施されている。

《腫瘍残存数・大きさ》(卵巣がん)
卵巣がんは、術後の残存腫瘍がゼロ、残存腫瘍があって大きさが10ミリ未満、10ミリ以上では、術後の生存期間に大きく影響する。手術を希望するなら、進行していても、完全切除を目指せるかどうか確認。

【取材した医師】
北海道がんセンター 院長・婦人科 加藤秀則医師
がん研有明病院 婦人科部長 金尾祐之医師

(文/別所文)

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』より