元ひきこもり男性33歳がゲーム廃人と化し、株で散財し、バーのマスターになるまでの10年間 (2/5) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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元ひきこもり男性33歳がゲーム廃人と化し、株で散財し、バーのマスターになるまでの10年間

連載「ぶらり不登校」

バーのマスターになったひきこもり経験者の鬼頭信さん(本人提供)

バーのマスターになったひきこもり経験者の鬼頭信さん(本人提供)

中学生時代の鬼頭さん。この写真を撮影した翌日からひきこもりが始まった(本人提供)

中学生時代の鬼頭さん。この写真を撮影した翌日からひきこもりが始まった(本人提供)

移動形式のバーのマスターを務める鬼頭さん(本人提供)

移動形式のバーのマスターを務める鬼頭さん(本人提供)

 なお、不登校やひきこもりは複数の要因が重なることが一般的です 。「いじめで不登校が始まった」という人が多いと思われがちですが、いじめだけが要因という人は少数派です。

■   ゲームの中へ移住計画 廃人を本気で目指す

 ひきこもりが始まった当初、鬼頭さんは心にため込んだものを爆発させました。なぜ自分は動けなくなってしまったのか。その要因もわからず混乱し、この先の未来も悲観的なイメージばかりしか浮かびません。どうしていいかわからずに、家の中で暴れ出したり、幼児返りが始まったり、同級生たちの夢を見ては何日もうなされたりしたそうです。

 そうやって苦しんだ鬼頭さんはある決断をします。外部との関係をいっさいシャットダウンしよう、と。学校への再登校はもちろん拒否。同級生との連絡も遮断。病院も行かず、対人関係は家族だけに限定。社会とのかかわりを絶ち、寝起きは自由にしたため、必然的に昼夜逆転が生活リズムの基本となりました。

 コンビニや趣味の集まり程度には行ける人も「ひきこもり」とも呼ばれますが、鬼頭さんのように自ら俗世を捨てるスタイルは「ストロングスタイル」と言ってもいいでしょう。実行にためらいがあると精神的に不安定になりますが、家族の理解もあり、潔く始められた鬼頭さんにはストロングスタイルがはまりました。本人いわく「数年で心が安定した」と。経験者以外には理解しづらいもしれませんが、まずは学校での傷をいやすために、徹底した休養が必要なのです。鬼頭さんの場合、それが数年間に及んだということです。

 そうやって徐々に精神の安定を手に入れた鬼頭さんは、これからどのように生きるべきかを考えた末、「ゲーム廃人」を目指します。人生の解決策として、「生きる世界をバーチャルのなかに留めてしまおう」と思ったからです。リアルの世界ではつらすぎて希望を持てないので、ゲームの住人となって新たな人生を歩むんだ、と。鬼頭さんにとってゲームは「ヒマを持て余した人の遊び」ではなく、移住ツールだったわけです。

 鬼頭さんは本気でした。1日のうちで、寝る、フロ、メシ以外の時間は、ほとんどゲームに費やします。メーンでやりこんだオンラインゲームのプレイ時間は累計6000時間以上。概算では週7日で一日10時間ペース。それを聞くと私なんかは「過労ラインだなあ」などと心配しました。ただ、さぞやゲーム内では無双をできたのかと思いましたが、鬼頭さんは当時をふり返ってこう言いました。

「まだまだ上には上がいた。自分は『入り口』にも立てなかった」

 意識が高すぎますね。また「ゲーム廃人には及ばなかった」とも言ってきましたが、プレイ時間を参照に私のほうで鬼頭さんを「ゲーム廃人」に認定しています。


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