日本ハム・清宮幸太郎 (c)朝日新聞社
日本ハム・清宮幸太郎 (c)朝日新聞社

 開幕まであと2週間を切ったプロ野球ドラフト1位ルーキーでは佐藤輝明(阪神)、早川隆久(楽天)の2人が注目を集めており、特に佐藤はオープン戦でも左方向へ一発を放つなどここまで期待通りの活躍を見せている。その一方でニュースになる機会は減ったものの、今シーズンの飛躍を感じさせる過去のドラフト1位選手も確かに存在している。そこで今回はそんなブレークの期待がかかるかつての“ドラ1”をピックアップして紹介したいと思う。まずは野手編だ。

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 キャンプ、練習試合から順調に結果を残し続けているのが今年3年目となる辰己涼介(楽天)だ。過去2年間は抜群の運動能力はありながらも攻守ともに堅実さに欠ける印象だったが、今年は明らかに打撃のコンタクト力が向上した印象を受ける。フィジカル面が強化されたことでこれまでのように反動を大きくつけて振らなくても鋭い打球が飛ぶようになり、その分長くボールを見られるようになったことが大きい。

 運動能力に関しては入団直後からプロでも上位のレベルであり、やっとそれを生かせる体の土台と技術がついてきた格好だ。左方向への強い当たりが増えたことによって、打率は確実に上がってくるだろう。ここから更にワンランク上に行くためには持ち味と言われている守備と走塁のレベルアップも重要になってくる。昨年は外野手ながら失策5を記録しており、盗塁成功率も低かった。このあたりが改善されてくるようであれば、一気にリーグを代表する外野手になる可能性もあるだろう。

 高校卒の若手で楽しみなのが太田椋(オリックス)だ。1年目は教育リーグでの死球による右手首の骨折で大幅に出遅れながらも二軍で6本塁打を放つと、昨年は一軍でも3本塁打をマーク。今年もキャンプから一軍でアピールを続け、オープン戦でも1番やクリーンアップを任されており、3月10日のヤクルト戦では3本の長打を放つ大活躍を見せている。レギュラー陣と比べるとまだまだ体は細く見えるものの、その体を感じさせないスイングの強さと長打力を備えている。抜群のリストの強さがありながらも、それに頼り過ぎることなく、全身で大きく振れるという点が非常に心強い。

 ヤクルト戦の3本の長打のうち2本はライト方向と、広角に打てる上手さもある。セカンドのフットワークとスローイングについても一軍で十分プレーできるレベルにあるという印象だ。気をつけて欲しいのが、とにかく故障である。1年目は前述した通り右手首の骨折で出遅れ、昨年も走塁中の接触で肋骨を骨折してシーズン終盤を棒に振っている。若さゆえの思い切りの良さが故障に繋がらないように、コンディションの面には十分気をつけてもらいたいところだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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日本ハム・清宮も遂にブレーク?