例えば、冒頭で紹介した東京歯科大では1年次から教員が歯科医師国家試験に向けての指導をおこなうことで知られています。学生をグループにわけ、教え合うシステムもその一つです。こうした対策の成果もあって、東京歯科大は合格率が常に全国トップレベルで、この3年間は国公立大を抜いて、全国1位(2020年96.4%))なのです。
複数の私立大で迷った場合は、歴史のある大学を選ぶといいでしょう。よく知られているのは東京歯科大、日本歯科大、日本大の3校で、「私立御三家」と言われています。1890年に創立した日本最古の歯学部である東京歯科大をはじめ、3校とも100年以上の歴史を持ちます。なお、日本歯科大は東京のほか、新潟生命歯学部も含みます。日本大は東京のほか、千葉県松戸市に日大松戸歯学部を設置しています。
私は日大松戸歯学部の卒業生です。歯科医師である叔父の出身校という理由でこの大学を選びました。私立御三家に入るメリットは卒業生の数が他大の歯学部と違い、けた違いに多いことです。
開業医が中心になる歯科医師の世界では縦のつながりがとても強く、同じ大学の出身とわかると先輩にかわいがってもらえます。また、各地域の歯科医師会には、「日大の会」「東京歯科大の会」といったように出身大ごとのグループがあることがほとんどです。このため、人脈を作りやすく、さまざまな情報を得られるメリットがあります。また、学会のトップに立つ人も御三家出身が多いです。これは旧帝大が幅をきかせている医学部とはちょっと違う構図ですね。
さて、長女の話になりますが、受験時にはこうした話をして、やんわりと私の出身大を推しました。当時は同期の友人が多く大学に在籍しており、「学業で困ったときなどにも何かと安心」という親心もありました。しかし、結局、娘は家からほど近い大学の歯学部を自ら選び、推薦入学で早々に、合格を決めてしまいました。もちろん、そこもとてもいい大学で、娘も学生生活には大満足をしていましたから、結果的にはよかったのです。ただ、子どもは親の思い通りにはいかないということですね。