MDも、カセットも、近所のコンビニ「新鮮組」も、牛丼太郎もなくなってしまった。

 私が中学生の時には、まだ携帯電話も家庭用のパソコンもなかった。

 イケアもコストコも日本になかった。

 たかだか30年くらいのあいだにものすごい変化じゃないか。その変化に良いとも悪いとも言い難い。

 とにかく、日々、変化の中を我々は生きているのだ。そういうことなんじゃないか。

 隣では風呂上りの夫が、
「おへそちょーだい! おへそ取って!」
 とちびにねだられている。

 さあ、また大きな変化が訪れようとしている。

 私にできることは何か。私のすべきことは何か。

 皿洗い、洗濯、片付け、ゴミ拾い、おせちのネット注文。

 あった。目の前にすべきことがいっぱいあった。

 そろそろちびを寝かしつけなければいけないし。

 バタバタとこうして1日1日を重ねて、あっという間に月日が経っていく。これが私の目の前の現実だ。

 おしゃべりも上手になってきたちびと、クリスマスやお正月などのイベントをしっかり楽しんで心に刻んでいこうと思う。

 じゃないと、あっという間にするりと通り過ぎてしまう気がする。

 明日は商店街の肉屋に、クリスマスチキンの予約を入れにいく。車に轢かれてザックリいったカエルのぬいぐるみも修理に出そう。

 隣では夫がちびを寝かしつけようと、
 抱っこして背中をトントンしているものの、
 ちびも夫の背中をトントンとしており、
 夫の方が先に寝落ちしそうになっている。

 夫を翻弄するおもしろいちびの姿も、こうして書き記しておかなければ、あれよあれよと通り過ぎて忘れてしまうだろう。

 しっかり目に焼き付けてストックしておこう。

 未来を憂いている暇はない。

 あ! 夫が寝落ちした。

 ちび、夫の寝かしつけに成功しました。

■水野美紀(みずのみき)
俳優。ドラマ・映画・舞台で活躍中。<出演情報>日本テレビ系「マネキン・ナイト・フィーバー」が10月8日スタート。レギュラー番組は、フジテレビ系バラエティ「突然ですが占ってもいいですか?」毎週水曜22:00~、讀賣テレビ「水野美紀の映画生活(シネマライフ)」毎週金曜22:54~<関西ローカル> http://www.ytv.co.jp/cinemalife/

【書籍『水野美紀の子育て奮闘記 余力ゼロで生きてます。』好評発売中】

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水野美紀

水野美紀

水野美紀(みずの・みき)1974年、三重県出身。女優。1987年にデビュー。以後、フジテレビ系ドラマ・映画『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、映画、テレビドラマ、CMなど、数多くの作品に出演。最近では、舞台やエッセイの執筆を手掛けるなど、活動の幅を広げている。2016年に結婚、2017年に第一子の出産を発表した

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