夏になっても大会の中止が続き、昨年度の大学王者、早稲田大学が例年長野県・菅平高原で行ってきた夏合宿を大学の方針に沿って取りやめるなど各チームの強化にも大きな影響を与えた。同時に世界有数のラグビー合宿地である菅平高原の旅館は、続出したキャンセルで大打撃。旅館組合への支援を求めるクラウドファンディング「WE ARE スガダイラーズ PROJECT」が行われ、4千人を超える支援により6億円の目標を達成した。

 秋のラグビーシーズンになり、関東大学は通常の総当たり制で開幕したが、約半数の試合は無観客に。関西大学は各校の試合数が少ない変則フォーマットで行われている。第100回の記念大会となる全国高校大会の予選も決勝まで無観客の地区が多く、東京地区は準決勝、決勝のみ公開されたが、準々決勝までは会場や開始時刻も公表しない厳戒態勢だった。

 一方、シニアレベルでは、トップリーグは越年してからの開幕。プロ野球やJリーグは観客数を制限しながらも試合を開催しているだけに、ラグビーの試合がない空虚感を抱いているラグビーファンも多いことだろう。

 そんな中でも、2021年に向けて明るい話題も出始めている。最大のニュースは、ブリティッシュ・アンド・アイリッシュライオンズとの対戦が決まったことだ。

 ライオンズとはイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド4協会による選抜チーム。いずれの代表も強豪揃いで、その中からさらに選りすぐられた選手たちで構成される。ライオンズが編成されるのは4年に一度だけ。来年は南アに遠征する。日本代表は遠征出発前のウォーミングマッチの相手に選ばれた。

 また、トップリーグに変わって2022年にスタートする新リーグに参入するチームの動きも活発化。キヤノンイーグルスはラグビーワールドカップ2019の決勝などの会場になった日産スタジアムのある横浜市をホストエリア、同じく昨年のワールドカップ開催地の一つだった大分市をセカンドホストエリアとすることを発表した。

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2021年は日本ラグビー界にとってどんな年に?