自国開催で大いに盛り上がった昨年のラグビーW杯 (c)朝日新聞社
自国開催で大いに盛り上がった昨年のラグビーW杯 (c)朝日新聞社

「本当だったら、ここにジャパン(日本代表チーム)がいたはずなのに……」。多くのラグビーファンがそう嘆いたに違いない。

【写真】2019年の流行語大賞といえばラグビーW杯2019からのあの言葉

 11月13日に開幕し、21、22日(現地時間)には第2節が行われた国際大会「オータム・ネーションズカップ」。イングランドなどシックスネーションズの強豪すべてを含む8チームが参加する国際大会で、日本にも参加の打診があった。しかし、国内外の新型コロナウイルスの感染状況から事前合宿などの準備が難しく、海外遠征後の待機期間といった制約も大きいことで出場を断念。14日にラグビーワールドカップ2019準優勝のイングランド、21日には同4位のウェールズと対戦する機会を得たジョージアは、いわば日本の代役だった。

 そもそも、このオータム・ネーションズカップ自体が、新型コロナウイルスの世界規模の感染拡大で今年の国際交流予定が大きく影響を受けたため、急きょ設けられた代替大会。日本代表も6月、7月のウェールズ代表とイングランド代表の来日と11月の敵地でのスコットランド代表戦、アイルランド代表戦がすべて中止となっている。代替大会への出場に加えて独自の試合開催も叶わず、2020年は何とテストマッチだけでなく代表活動そのものが全く行われない1年になってしまった。

 日本代表の躍進で盛り上がったラグビーワールドカップ2019が南アフリカの優勝で幕を閉じてから、わずか1年あまり。新型コロナウイルスは世界のラグビー界、日本ラグビー界をすっかり変えてしまった。

 今年7~9月に開かれるはずだった東京オリンピック・パラリンピックを史上初の1年延期に追い込んだ新型コロナウイルス。ラグビー界もその猛威からは逃れられなかった。

 1月12日に開幕したジャパンラグビートップリーグ2020は2月22、23日の第6節を最後に中断、再開することなく中止に追い込まれた。

 緊急事態宣言が出た春は各都道府県の高校総体や地区大会が軒並み中止。大学進学に向けて自分の実力を示す舞台を失った高校生らのために、みずからのプレー動画をソーシャルメディアに投稿、進路開拓に繋げるよう促す取り組み「ラグビーを止めるな」が生まれた。このムーブメントは他競技にも広がった。

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相次いだ大会の中止…