「アメリカでは患者さんの不利益となる治療を続けることがないように、40代の患者さんには卵子提供がすすめられますし、養子縁組といった選択肢もあります。子どもを育てたいという希望に対しては、何も自己卵での治療に限る必要はありません。さまざまな選択肢を増やすことが、患者さんの自己決定を促すと思います」(小柳医師)

 最終的に、不妊治療の出口を決めるのは患者自身だ。本当に求められるのは、出口の先にある、多様な選択肢を受け入れる社会なのかもしれない。

(アエラムック編集部・曽根牧子)

【取材した医師】
小柳由利子医師
産婦人科医、不妊治療医。2006年福島県立医科大学医学部卒業後、町田市民病院、木場公園クリニック、東京大学分子細胞生物学研究所を経て、2015年から東京HARTクリニック勤務。医学博士。妊活・不妊治療に関する知識の啓発に取り組む。