「学費を値下げすると、国公立大医学部との併願組も増えます。御三家や順天堂大学などは国公立大医学部を辞退して入学する受験生も結構います。また、学費を下げることで、受験生の裾野が広がり、より医師や研究者としての適性が高い受験生が増えることもメリットです」(可児さん)

 その後も昭和大(一般入試合格者)、東邦大、帝京大、東海大、藤田医科大、愛知医科大で値下げが続いた。18年には御三家のひとつ、日本医科大が約570万円の値下げをして話題になった。また国際医療福祉大は17年の開学当初から、学費を私立大の最安値となる約1910万円に抑えて人気を博している。

■6年間の学費0円、毎月11万円の手当に賞与も2回

 しかしなかには、学費ナシ、あるいは低学費になる医学部もある。防衛医科大学校、産業医科大、自治医科大の例を見てみよう。

〇防衛医科大学校
6 年間学費 0円→毎月手当約11 万円+賞与年2回
入学金、および授業料などは徴収されない。学生の身分は防衛省職員(特別職国家公務員)で、毎月約11 万円の学生手当と、年2回の期末賞与が支給される。学費は必要ないが、卒業後9年間は自衛隊での勤務が必要。離職した場合、相応の返済が求められる。

〇産業医科大
6 年間学費 3069万円→ 1130万円(修学資金貸与制度)
入学者全員が対象。卒業後、貸与を受けた期間の1.5 倍の期間(在学6年間貸与を受けた場合は9年間)産業医などの職務に就けば、貸与を受けた全額が返還免除。ただし、卒業後、産業医等の職務に就かない場合、または所定期間勤務しない場合は、貸与を受けた全額を一括返還しなければならない。

〇自治医科大
6 年間学費 2260万円→ 0円(修学資金貸与制度)
入学者全員が貸与契約を締結し、修学資金の貸与を受けられる。大学を卒業後、出身都道府県知事が指定する公立病院などに医師として勤務し、その勤務期間が修学資金の貸与を受けた期間の1.5 倍に相当する期間(その勤務期間のうち2分の1は、知事が指定するへき地等の指定公立病院などに勤務する)に達した場合は、返還が免除される。

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学費が安いという理由だけで受験することはお勧めしない