「子供の頃は黒木瞳さんに憧れていて、黒髪ロングの女性と結婚したいと思っていたんです。でも最近は変わりました。生き物で例えるなら、今の僕の好きなタイプは『エゾサンショウウオみたいな人』ですかね。あのつぶらな瞳がたまりません」(からだにいいこと 2019年10月号/29歳)

 一方で、結婚願望がなくなったわけではないようだ。むしろ、家族というものに対して特別な思いを抱いていたようなところがあった。

 29歳で初の父親役を演じたドラマ「TWO WEEKS」では、共演する子役をかわいがり、ツーショットをスマホの待ち受けにするほどだった。

「すごく癒される。この子のために、3カ月頑張れるなという思いが生まれています」(朝日新聞 2019年7月18日夕刊/29歳)

「撮影前は、そこまで首ったけになることはないだろうと思っていたんですけど。初めての感情との出会いに戸惑いもありますが、楽しみながら日々全力でやらせてもらいます」(同)

 自分と親子を演じた子役のことを「特別な存在」と言っていた三浦さん。その発言の背景に、いつか家族をもちたいという気持ちがあったとしても不思議ではない。

 また、直接的ではないが、頭の片隅にそうした気持ちがあったと推測できるような表現もあった。最近影響をうけた本についての質問ではこのように答えていた。

「論語のなかに『直接政治に携わらなくても、家族や身近な人たちと良好な関係を築くことも、国をよくしていくこつながる』といった意味のことが書かれていて、それを僕は、どんな仕事も大きく考えれば国をよりよくしていくことだととらえて、いつも年頭に置いています」(NIKKEI WOMAN 2020年3月号/29歳)

 30歳直前の言葉だ。三浦さんにとってはいい仕事をした先に、結婚や家族を持つことがあったのかもしれない。

 すべてに誠実に生きた三浦さん。これからいろんな可能性が広がっていたはずの人生が途切れてしまったのが残念でならない。最後のドラマ「カネ恋」の撮影も本人は誠実に取り組んでいたはず。最終話の演技を目に焼き付けておきたい。(AERAdot.編集部)

※このシリーズのほかの回はこちらから
【1回目】三浦春馬さんの死に傷ついている人へ もう一度聞きたい「本人の言葉」~家族と仕事~https://dot.asahi.com/dot/2020091400066.html

【2回目】三浦春馬さんの死から心に穴が開いたままの人へ 残したい「本人の言葉」~人との出会い~https://dot.asahi.com/dot/2020092200004.html

【3回目】三浦春馬さんのいた時間を忘れたくない人へ 残したい「本人の言葉」~30歳の節目~https://dot.asahi.com/dot/2020092800043.html

【5回目】三浦春馬さんの死でつらい思いを抱える人へ 「14歳の母」から「せかほし」まで本人の言葉https://dot.asahi.com/dot/2020100600064.html

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