ただし、こんな意外な弊害もあるようだ。

「2人がブレークしてからしばらく、彼らが所属するマセキ芸能社でテレビ出演にまで到達する芸人がいなかったんです。なので、ウッチャンナンチャンが一番苦手なのは実は、マセキの中堅だったりするそうです(苦笑)」(同)

 お笑い評論家のラリー遠田氏は言う。

「駆け出しの若手芸人がたくさん出るような番組を作るためには、彼らのまとめ役として番組の顔になる大物芸人が必要です。ウッチャンナンチャンの2人はまさにその役割にふさわしい存在です。最大の理由は十分なキャリアがあるということ。ウンナンは30年以上前からテレビで活躍しているため、中高年も含む幅広い層の視聴者に認知されています。それ自体がMCとしては圧倒的な強みです。しかも、近い世代の芸人であるダウンタウンやとんねるずが、どちらかと言うと強権的に上から目線で後輩芸人に絡んでいくスタイルであるのに対して、ウンナンは後輩にも優しく接するイメージがあります。昨今のテレビ界では、パワハラっぽいノリが敬遠される風潮があるため、そういうことをほとんどしない彼らは、制作サイドから見ても絶対的な“安全牌”として信頼されているのです」

 すでに大御所のウッチャンナンチャンから、中堅芸人にその遺伝子が受け継がれ、再びお笑い番組が活況となる日が来るかもしれない。(黒崎さとし)