今回の長瀬くんの退所は間違いなく円満な形だと思う。成功によって得た現状の地位を自信にしつつも、そこに依存しない長瀬くんの姿勢には、拍手を送りたいね。彼の才能をさらに進化させるすばらしい決断だと思う」

 そう話す木野も、過去にジャニーズ事務所を退所した一人だ。木野は1986年にジャニーズ事務所に所属。88年にはテレビ番組の企画で結成された「CHA-CHA」(92年に活動停止)のメンバーに抜擢され、勝俣州和らとともに活動した。だが、CHA-CHAでのバラエティー色の強い仕事をこなしていくなかで、「パフォーマーとしての力を磨きたい」という思いが募り、90年にジャニーズ事務所を退所。単身アメリカへ渡り、ダンスの修行に励んだ。

 自らの「表現」を極める道を選んだ木野は現在、自身の地元・静岡県を拠点に、歌とダンスのライブや、自身の理論に基づいた身体の姿勢矯正のクラスを開くなどの活動をしている。2007年には、ダンスの実力が認められ、ジャニーズ時代からの憧れだったマイケル・ジャクソンとの対面を果たした。それは木野の「マイケルに認められるダンサーになる」という夢が叶った瞬間だった。

 自身の経験があるからこそ、木野は「事務所を退所するからこそできることもある」と、
退所後の長瀬の活躍について太鼓判を押す。そして木野は、TOKIOに残る3人が立ち上げる「株式会社TOKIO」に対してもエールを送る。

「昨年に東京ドームで行われたジャニーさんのお別れ会のとき、茂(城島)が気づいてくれて、向こうからあいさつしてくれたんだよね。太一(国分)も何年か前に楽屋が隣になったことがあって。すごく久しぶりだったんだけど、ノックして入ったら気持ちよくあいさつしてくれて。

 松岡のことも知っているけど、3人とも、よい意味でテレビに出ている時とそれ以外の時の差がない男たちなんだよね。表裏がなくて気さくというか。状況が変わっても浮つかない彼らだからこそ、新設の会社をつかってこれからもうまく発信できるんじゃないかな」

 最後に、木野に将来的な「5人のTOKIO」復活の可能性について聞いてみた。

「もちろん5人がそろってというのは、世論を納得させないといけないわけだけど。でも彼らメンバーには、それができるだけの力量があると思う。期待はしたいよね」

 長瀬の事務所退所とTOKIOの脱退が、グループのさらなる飛躍につながるのか。注目したい。(AERA dot.編集部/井上啓太)