同年6月14日に「TJライナー」がデビューすると、東上線の看板列車に成長。当初は夕方以降の下りのみ平日6本、土休4本で60分間隔に設定されていたが、現在は下り平日14本、土休11本の30分間隔に増発されたほか、平日に限り朝方の上り列車も2本設定された。

■「TJライナー」の成功で関東の大手私鉄などが追随

 これに追随したのが西武鉄道で、2016年9月に40000系が登場。各先頭車にパートナーゾーンを設け、車いすや乳幼児連れの乗客が過ごしやすい環境を整備したほか、デュアルシートは座席背面にカップホルダー、窓側席部分にコンセントをそれぞれ設置。元町・中華街~西武秩父間(113.6キロ)などの長距離運用に備え、4号車にトイレを設けた。また、通路上にSmileビジョン(LCD)を配し、旅客サービスを向上させた。

 優等列車としては、東京メトロ有楽町線などを直通する「S-TRAIN」、自社線内で完結する「拝島ライナー」に運用されている。特急形電車がありながら、簡易優等車両の投入に至ったのは、他社線直通が考えられる。それを行うには、車両の規格を極力合わせないと、入線できないのだ。近年はホームドアの整備により、ますます重要視されている。

 2017年7月に登場した京王電鉄「京王ライナー」用の5000系(2代目)は、デュアルシートの脚台、ロングシートの肘掛けにコンセントを設置し、すべての乗客が使えるようにした。また、空気清浄機にパナソニックのナノイー、高音質ステレオスピーカーの採用、ロングシートの着座幅を破格の505ミリに広げるなど、簡易優等車両が一段と進化した。

 東急電鉄6020系と6000系(2代目)のQシートも、京王電鉄5000系(2代目)にほぼ準拠する。特徴は編成すべてではなく、3号車のみに連結されたこと。大井町線急行を1両増結し、7両編成化したことで、自由席6両、指定席1両に分けたのだ。直通する田園都市線と同様、ラッシュ時に列車を増発する余裕がなく、合理的な策をとった。

 最近では東武鉄道が伊勢崎・日光線と東京メトロ日比谷線の直通列車用に70090型を2019年12月に投入。日比谷線直通の各駅停車で足慣らししたのち、2020年6月6日から「THライナー」の運行を開始した。全席をハイバックシート化し、全席およびフリースペースにコンセント、マルチシートの背面にカップホルダーや荷物フックも設置した。まさに「簡易優等車両の決定版、集大成」と断言できるほどのグレードアップぶりだ。ロングシート設定時の各駅停車でも居心地がよい。

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京阪電気鉄道のプレミアムカーは超ラグジュアリー