――誹謗中傷のほかにも、最近では新型コロナウイルスに関する情報過多で、いわゆる「コロナ疲れ」という言葉も出てきています。

 正しい情報も間違った情報もネット上に残ります。そして厄介なことに、デマや誤情報は正しい情報よりも広がりやすく、影響力が大きい。間違った情報にもかかわらず何度も引用され、拡散していくうちに大多数の意見になり、そのまま定着する場合もあります。それが今回のコロナ禍で改めて浮き彫りになりました。不確実な情報に対しては読むだけにとどめ、他の人に伝達したり引用しないということが大切です。

――協議会としての今後の対策を教えてください。

 新型コロナウイルス対策に象徴されるように、日本では「要請」で協力を求めますが、ネット被害は「強制」でなければなくならないと思います。法整備がなされるよう、引き続き政府に働きかけていきます。ネットで被害を受けた方々の経験や意見、願いや希望も、より良いインターネット社会の構築につなげていきたいと考えています。(聞き手・AERA dot.編集部・井上啓太)

●前川恵(まえかわ・めぐみ)/1975年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業後、食の安全や食品ロス削減など、食団体代表として活動。2014年に第47回衆議院議員総選挙で東京ブロック比例単独で初当選。17年に「ネット被害を考える協議会」を設立。会長としてネット被害者の救済に取り組む。