本来は医師や看護師、保健師などの専門家が評価する健診だが、自分で、または家族や友人とともにチェックしてみては
本来は医師や看護師、保健師などの専門家が評価する健診だが、自分で、または家族や友人とともにチェックしてみては
(イラスト/林 けいか)
(イラスト/林 けいか)

 2020年4月、後期高齢者を対象とした「フレイル健診」が始まった。フレイルを予防できれば将来寝たきりになるリスクを下げることも可能だ。フレイルの危険性とフレイル健診について、週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』では2人の専門家に話を聞いた。

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 フレイル──どこかで耳にしたことがある人もいるだろう。日本老年医学会が2014年から提唱している、高齢者に特有の状態を指す言葉で、英語のfrailty(虚弱、弱さ)からつくられた言葉だ。厚生労働省が20年4月にスタートした「フレイル健診」は75歳以上の後期高齢者を対象に、フレイル状態かどうかを評価して、必要な場合は改善をおこなう目的で実施される。

 健診自体は、15の質問に答えるだけだ。(表参照)

 これで一体、どのようなことがわかるのだろうか。そもそも、フレイルとは、どのような状態を指すのだろうか。

 フレイルとは、「加齢によって心身の活力が、徐々に低下してくる状態」を指す。これまでは「虚弱」「老衰」などといわれてきたが、可逆性をもつ、つまり元の状態に戻る可能性がある、希望がもてる言葉として「フレイル」が提唱された。

 年をとれば、ある程度の衰えはしかたがないことだが、フレイルが進行するままにしていると、その先には寝たきりなど、要介護状態が待っている。フレイルは健康と要介護の中間にある状態ととらえてもいいだろう。

 フレイルにはいくつかの側面がある。

 身体面では、歩く速度が遅くなって横断歩道が渡り切れない、ちょっとした段差につまずくなどがフレイルのサインとなる。質問票では、(1)、(7)~(9)が該当する。

 また、オーラルフレイルと呼ばれる、口腔機能の低下の有無も重要だ。自分で噛んで食べることが、健康寿命を延ばすために必要であることはよく知られている。質問票では(4)、(5)で評価される。

 精神や認知機能の健康度もフレイルに含まれ、認知症やうつを防ぐための大切な評価ポイントとなる。質問票の(2)、(10)、(11)にあたる。

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