ネクストサークルでファウル打球が股間直撃のアクシデントにもめげず、直後の打席で豪快な一発を放ち、男を上げたのが日本ハム時代の新庄剛志である。

 2005年4月15日の楽天戦(東京ドーム)、0対0の3回1死、打者・中嶋聡のファウルチップが、ネクストサークルにいた新庄を直撃。当たった場所は、よりによって“男性のシンボル”だった……。

 あまりの痛さに新庄は体を「く」の字に折り曲げてその場にうずくまった。しかし、そんなアクシデントでも、ショーマンシップを忘れず、股間に当たったボールを右手で拾い上げると、「大丈夫だぜ!」とばかりに高々と掲げ、スタンドの大喝采を浴びた。

 そして、話がそれだけで終わらないのも、“持っている男”の真骨頂。ベンチで中垣征一郎チーフトレーナーに腰を叩いてもらうなどの応急処置をしてもらい、本番の打席に入った新庄は、ラスの外角高め直球をセンター左に先制のソロアーチ。「右、○○○○打法!!大当たり~!!!」と気勢を上げたが、さすがにダイヤモンドを1周する足取りはおぼつかなかった。それでも、2対2の7回に木元邦之の決勝3ランを呼び込む四球を選ぶなど、最後まで出場し、チームの勝利に貢献したのはさすがだった。

 一方、期せずして新庄に痛い思いをさせてしまった中嶋はこの日、自打球のファウルが右手人差し指と顔に当たったばかりでなく、守備中にバットが頭を直撃するアクシデントもあり、無念の途中交代。「今日はいろいろと一杯当たったよ。(新庄には)ごめんなさいだったね」ときまりが悪そうだった。

 一度ならず3度も続けて自打球を体に当てながら、必死に痛みをこらえて意地の一発を放ったのが、阪神時代のブラゼルだ。

 09年6月13日のロッテ(千葉マリン)戦。0対7と敗色濃厚の7回、先頭打者として打席に入ったブラゼルは、カウント1-1から小野晋吾が投じた内角スライダーをファウルしたが、自打球が右膝付近を直撃。苦悶の表情でその場にへたれ込んだ。真弓明信監督と和田豊打撃コーチ、トレーナーが駆け寄って、心配そうに見守る。

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再び打席に戻るも…悲劇が連発